とにかく地味なんです。

東京都美術館で始まった「ハマスホイとデンマーク絵画」に行ってきました。


ハマスホイが目当てなんですが、4つのチャプターに分かれていて1から3までは19世紀デンマーク絵画の名品展になってました。
(以前は「ハーマンスホイ」って表記だったはずなのに、いつから変わったんでしょう?)

 

ベルギーだったら幻想的というか奇想の画家が多くて何人も名前が出て来るのですが、デンマークの画家ってハマスホイ以外全く知りませんでした。デンマークの映画はけっこう有名なのあるけど。


チャプター1は19世紀前半の絵で風景画や肖像画が中心、チャプター2はスーケイン派と呼ばれるデンマーク最北端の漁師町を描いた絵ですけど、描いてる対象も描き方もとにかく地味です。
息を飲むような絶景とか、劇的に見えるような演出とか、カラフルな色使いとか、明暗のコントラストを強調するとか、そういう見る人に迫ってくるようなインパクトのある絵はほとんどありません。大きさなサイズで海辺で働く漁師を力強く描いた絵が2点ほどある意外は、地味に慎ましく描いた絵ばかりで、決して悪くはないんですが、申し訳ないけど眠くなってくる。

 

チャプター3の19世紀終り頃の絵になって、目が覚めてきました(笑)
印象派の手法を取り入れたりとか、それぞれの画家がいろんな試みを行っていて、かなり面白いです。ゴーギャンと親交のあった画家やゴッホに会いにアルルまで行った画家()もいるんですね。

(生前のゴッホが全く無名だった、みたいな通説は見直される必要があるかも)

 

画像ありませんけど、特にいいと思った絵のことを書きます。

 

・ユーリウス・ポウルスン《夕暮れ》
これ見た人はみんな驚いたんじゃないかな? 田園風景で、中央に大きな木が2本、傍らには牛(たぶん)がいたり、牧歌的な風景画なのですが、全部ピンボケです!
筆で普通にぼやけさせたというタッチじゃなく、カメラのレンズを通さないとできないようなボケ方に描かれています。地平線が少しオレンジ色になっていて、中央の木の向こうにおそらくほぼ沈んだ夕日があると思うんですが、そうすると確かにこういう見え方になるかも。
いやあ、これはすごい絵だな、って思ったの私だけかな?

 

・ヴィゴ・ピーダスン《居間に射す陽光、画家の妻と子》
これは室内画で、タイトルそのまんまの絵です。窓から入ってくる陽の光が母親と幼い子供の顔に当っているのですが、その明るさと温かい感じが絶妙で、見ていて優しい気持ちになれます。
この光の温かさは北欧じゃないと描けないだろうな。

 

・ヴィゴ・ヨハンスン《きよしこの夜》
この画家の絵は今回5点あって、ハマスホイ以外では一番多いので、けっこうデンマークでは有名な画家なのかもしれません。この絵は室内で大きなクリスマスツリーを囲む女性と子供たちが描かれていて、冬の北欧の冷たく暗い室内で、ツリーの装飾の灯りとそれに照らされて浮かび上がる子供の表情などが、どこか幻想的です。
この絵はポストカードがあったので迷わず買いました。

 

ハマスホイと親交のあった画家の室内画もありましたけど、意外と平凡だなあと私は思いました。

やっぱり全体的に地味ですね。

 

次回はハマスホイの絵について書きます。