ブルーノ・ムナーリって、名前は聞いたことある程度で、
どんな人か知らなかったのですが
役に立たない機械をつくった男」ってタイトルが気になって、
役に立たない男が(^^ゞ 世田谷美術館まで見に行ってきました。

 

「役に立たない機械」はムナーリがまだ20代の頃に作った、
単純で抽象的な図形を組み合わせた、天井から吊るすオブジェで、
風に揺られてゆっくりクルクル回るものです。

 

この人の作るものは最晩年まで基本的にこういう、
シンプルな形と色の組み合わせで出来ています。
鑑賞される作品と言うより、見る人の頭を刺激して、
それぞれの人がここから想像を広げていけるような作品です。

 

原色で塗った平面を組み合わせた「陰と陽」とか
形の違う何も書いてない紙で作った「読めない本」、
金網で作った「役に立たない機械」のような「凸凹」、
それにコラージュとか、どれも単純に面白いですね。
特に知識とかなくとも、誰でも楽しめるものです。

 

絵本も面白いです。
ムナーリさん、自分の子供に絵本買ってあげようとしたら
堅っ苦しい教訓物語みたいなのばっかりで、
オモロないっ!よっしゃ、ワイが作ったる!て思って、
(ここ、実際はイタリア語ですよ)
見て楽しい、子供の想像力を刺激する絵本を作り始めたのだとか。
日本では谷川俊太郎さんが訳を付けてますニヤリ

 

絵の中の窓や扉が開くようになってたり、
トレーシングペーパーを使って絵の足し算引き算ができるようにしたり、
いろんな仕掛けがあって、自分の手で物語を進めていくような
ワクワクする絵本です。
私は子供の頃、絵本とかと無縁に育ちましたが、
(貧乏な家だったので・・・ショボーン
こんな絵本があったら夢中になってたと思います。

 

やがてムナーリさんは、特別な技術とか知識なしに
誰でも作る側になってアートを楽しめるようなものを考え出します。
スタンプ使ったり、絵を描き加えられる絵本の素みたいな本を作ったり。
子供向けの玩具も、パーツだけ提供して、
あとは子供がそれぞれ創作していけるようなものです。

 

とにかくアイディアが豊富で、しかもシンプルで分かりやすい。
展示の説明によるとムナーリさん、ルーチョ・フォンタナとか
記号学者で作家のウンベルト・エーコ(「薔薇の名前」の人)
とかとも付き合いがあったようで、
頭の中では難しい理論も考えていたと思うのですが、
作り出すものは分かりやすくて楽しいものばかりです。

 

「子供も楽しめる展覧会」って宣伝文句にありますが、
大人だけでも十分楽しめます。

 

帰りにふと思ったのですが、
「役に立たない機械をつくった男」というタイトル、
ちょっとイケてないなあ。
私に言わせると、役に立つアートを作った男キラキラですねラブ