裸体は最も美しく、最も愛おしい。
湯治のために行った温泉で、数々の美しいものを見た。
例えば、嗄れた老婆の干涸びた乳房。
まるで弾力のない二つの皮が、確かに胸部にぶら下がっている。
白く、ふるふるとしたその張りのない皮は、おそらくこの世のどんなものよりも柔らかい。
鎖骨は異常に骨ばって、その永い年月の苦労を物語る。
朝早くから夜遅くまで働き、自分より人を優先した。
垂直に曲がった背骨を、この手で摩りたい。
異様に曲がった指。
骨と皮だけの大腿。
湯気に紛れてその美しさを知る。
褐色の肌の中年女性の腹部の大きな傷痕。
何を失った代わりに生きることを手に入れたのか。あまりに痛々しいその傷は、血の気のない唇のような色をしていた。
けれども、その姿は、神々しく美しかった。
背中の皮膚の爛れた女性。
火傷を負ったのか、皮膚病か。うら若い娘さんだけに苦しんだであろう。
そして、これからもずっと苦しみ続けるであろう。
一見しただけでは誰にもわからなくとも。
それでも貴女は綺麗だ。その見えない憂いさえ艶やかで。
幼い子どもの溌剌とした肉体。
諸行無常の響きあり。
温泉は、人生の縮図。
にごり湯の温泉に首まで浸かると
誰にも何も見えない。
それが社会。
カピバラのような、可愛らしい顔を見つけたら、
私の娘だった。