生まれ育った実家は、
風が吹けば飛びそうな古い平屋で、
タンスのそばに寝ていた。今、思えば。
地震が来たら危なかった。
家そのものが。笑
懐かしい。幽霊屋敷。
その地域は、自転車が通るのもやっと、と言うほど狭い部落で、
ご近所さんは、一様に密集していた。
寝室の窓の向こうには、少し年上のお兄さんが住んでいて、
レコードをよくかけていた。
窓は網戸だから、よく聞こえた。
こんな季節は、思い出す。
〝ガラス越しに消えた夏〟
きっとお兄さんが好きだった曲だろう。
何回も何回も聞いた。
切なくて甘酸っぱくて、セクシーな声の曲。
あのお兄さんも、すっかりおじさんだろう。
甘酸っぱい恋をしたのかな。
さよならをくりかえしたのかな。
私は私である。
私はあなたでもある。