朝方に夢を見た。
夢にしては、かなりはっきりとしていて、赤茶けたレンガ造りの街だった。
メイン通りから外れた裏通りの四角いレンガの建物に、彼はいた。
幾分かほっそりとして、記憶よりも若かった。
彼は花屋さんのように、榊を対にする仕事をしていた。
彼は私と目が合うと、
こっちに来てごらんと、手招きをした。
私は言われた通り、建物に入った。
螺旋状の階段を上がって2階に出ると、彼は大きな窓辺に立って、
ここから見てごらん。と、優しい微笑みを浮かべて言った。
見ると、そこは、2階よりもずっとずっと高くて、
裏通りを歩く人々が、上から見下ろせた。
1人のサラリーマンが歩いていた。
すると、その人の様々な出来事が見えてきた。
彼は言った。
〝ここから、人々の人生が見える〟
私は驚いた。
こんな風に見えるなんて。
貴方は、今、こんな仕事をしているんですね。
彼は笑った。
目が覚めると、
思いついた。
スマホを取り出して、日にちを数えて驚く。
今日が、ピッタリ49日だと。
人は亡くなると、約50日の間にお世話になった人、1人1人に挨拶に行くと聞いた。
最後に、私のところに来てくれたんですね。
なんだか、彼らしくて、笑ってしまった。
もう、ずいぶん前の話。
怒ってはいなかった。あの日、食事をキャンセルしたことを。
今、彼の書いた本を読んでいる。
ずっと読めずにいた。二年経ってようやく、手にとって開いたのだ。
また、近くに来てる。
はにかみ笑いをして。
そんな大した話じゃないと、私に言う。
私は私である。
私はあなたでもある。