そう言えば、1月だった。その人の誕生日が。
2年くらい前に、駆けてゆくように逝った恩人。
年齢は私の親くらい。つまり、20歳は年上だった。
いつ、どこでどうやって知り合ったか。私が吸い寄せられるように、その人の店に入った時からか。
2年間くらい、店でよく会っては、いろんな話をした。
博識な人だった。
私を撮ってくれた写真がある。
なかなかよく撮れていた。
彼はそれを見て、
「見目麗しいな」と呟いた。
色恋沙汰には、年が違いすぎると思っていたが、どうも、口調が熱っぽくなってきた。
髪の長い、インテリ女が好みだと笑った。
直球で、キザな人だった。
何を考えてますか?とたずねると
「セックスかその周辺」と悪びれずに言った。
その時は私はさすがに、一歩引いてしまったけど。笑
悪い人ではなかった。
ある日、素敵なレストランを予約したから食べに行こうと言ってくれたが、
私は、どうしても行くのをやめてしまった。
彼が嫌いだったわけではない。が、迷って迷って行けなかった。
それが、最後だった。
その後、彼は重篤な病気が見つかり、嘘みたいにあっけなくこの世を去った。
今思えば、ランチくらい一緒に行けば良かった。いつものように、楽しくおしゃべりをして、美味しい料理を食べ、コーヒーを堪能してひとときを過ごすぐらい、罰は当たらなかったのに。
その後、彼が私に最初に会いに来たのは、ちょうど49日だった。
つづく
私は私である。
私はあなたでもある。