登山凛とした冷たい空気が頬を刺す。山々の木々は、その内側にじっと命を宿し春の日差しを待つ。しんとして、眠っているように見える山も至る所にエネルギーを潜ませじっとその時を待っている。ある時、そう、次々と起こる不安な出来事に押し流されそうになったとき、不意に頭の中に聞こえた声がある。優しく大きな存在が少し笑うように言った。〝困難のない登山などつまらないだろう?〟私は私である。私はあなたでもある。