お盆は、台風の影響を考えて帰省を断念した。




予約したチケットは払い戻した。





父の初盆だし、帰りたかったけど仕方なかった。





子どものころからお盆の実家は大好きで、





くるくると回る色とりどりな灯篭や、





溢れるくらいに並べられたお供え物。







お線香の香り。








祖父、祖母、叔母、従兄弟。賑やかな人々の笑い声。






もう二度とない。今年は母一人でお盆を迎えた。







けれど、今朝方、ちゃんと夢を見た。













実家のお仏壇の部屋。






私は祖母と話していて、祖母はいつも通り、柔らかくゆるゆるな笑顔で。





ふと振り返ると父がいた。





若い!30代⁈




真っ黒な髪が、今、かけたばかりのパンチパーマみたいにクルクルで、




なぜか喪服を着て、遠くを見て立っている。






私は瞬時に思う。





父だ。父がお盆で帰ってきた。





私は泣いていた。祖母が私の肩に手を置いて微笑む。





そこで、待てよ、と私は思う。





父が他界しているということは、


祖母はもうとっくにいないはずだ。






そして、目が覚める。





ああ、父さん。おばあちゃん。私に会いに来てくれたね。






人生は本当に一瞬で、子どものまま家族に依存して生きていた私は、



夢から覚めたら、今度は子どもたちを養わなければならない立場になっていて、




もうすでに長男は自立し、家にはいなくて



来年は長女が、3年後には末娘もいなくなるだろう。




ただただ、必死で毎日を生きてきて、





苛立ちや悲しみや苦さを抱えながらも





その中に輝いていた一瞬があり、





ああ、このもどかしい気持ちもまた輝きの一瞬。






これを体験したくて生まれ、あっという間に過ぎ去っていく〝生きている〟と言う日々の






愛おしさを思う。
















私は私である。
私はあなたでもある。