生前の父は携帯電話は電話とメールだけできればいい人だった。
私から送信するメールと言えば、
「残業で○○時の電車に乗るとお母さんに伝えて下さい」
「今ドラッグストアのタイムバーゲンで○○と△△が安いけど、買っとく?」
そして「例のブツが手に入ったので10円用意して待っとくように」
くらいだった。
ちなみに例のブツとは「ギザ10」だ。なぜか知らないけど、父は「ギザ10」を集めていた。
こういう何気ない小さなことの方が、父はもういないのだということを強く感じさせる。


仕事から帰宅しても母と二人きりの生活で、常に気持ちが防御態勢に入っていて気が休まらない。爪噛み・抜毛も進む。
妹夫婦の家は歩きでも20分くらいと近いので、車の免許を持っていない私たちのために買い物やら親戚の家に行くときやらよく動いてくれる。可愛い5歳の甥っ子もいる。
たまに晩ご飯や休みの日の昼ご飯を我が家で食べることがあって、甥っ子を中心にわいわい言いながら食べている。動いてもらったお礼や、少しでも妹に楽をさせてあげたいと母が誘っているから。
余裕があれば甥っ子と普通に遊んだりできるんだけど、ない時は「お願い、3分でいいから黙っててくれる?」などとひどいことを言ってしまう。言われた甥っ子も嫌だろうけど、そういう対応しかできない自分も本当に嫌になる。
私は私なりに疲弊して帰宅して、一緒にいても落ち着かな い母と対峙することを思ってうんざりしてしまってて、妹夫婦の車が止まっているのを見ると石を詰め込まれたような気分になる。気持ちがささくれ立って、ああ、消えたいなぁとまた思う。