【次世代の党】自殺行為にしか思えない党名変更【日本のこころを大切にする党】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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「次世代 党名を「日本のこころを大切にする党」に」 NHKニュースウェブ2015年12月21日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151221/k10010348031000.html

次世代の党は議員総会を開き、党勢の拡大に向けて、党の理念や考え方を明確に打ち出す必要があるとして、党名を「日本のこころを大切にする党」に変更することを決めました。

次世代の党は中山代表が、党勢を拡大するためには党の理念や考え方を国民に向けて明確に打ち出す必要があるとして、党名の変更を主張し、21日に国会内で開かれた議員総会で協議した結果、党名を次世代の党から「日本のこころを大切にする党」に変えることを決めました。
中山代表は総会のあとの記者会見で、「日本の政治の在り方として、今こうした考え方を打ち出す必要がある。次世代の党を発展させ進化させるための党名変更だ」と述べました。
また中野幹事長は「国政選挙でも地方選挙でも、残念ながら次世代の党の党名が受け入れられなかった厳しい現実がある。党名を一新して新しい気持ちで臨むしかない」と述べました。
次世代の党は先に「日本が長い歴史の中で育んできた風俗、習慣、文化に息づく日本のこころを大切にして、家族を基底においた明るく温かな社会を実現する」などとした、新しい綱領を決めています。」


「日本のこころを大切にする党=次世代が党名変更」 時事ドットコム2015年12月21日
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201512/2015122100238

「 次世代の党は21日の議員総会で、党名を「日本のこころを大切にする党」に変更することを決めた。中山恭子代表は総会後の記者会見で、党名に「日本のこころ」を入れた狙いについて「穏やかさや誠実さ、良心など、日本人が誰でも持っている精神が欠けつつある」と説明した。
 中野正志幹事長は変更の理由について、「次世代」の名で国政・地方選挙を戦った候補が苦戦したことを挙げた。総務省に届け出る新党の略称は「日本」。党の綱領や基本政策は維持する。 
 党名変更をめぐっては、江口克彦参院議員が反対し、18日に離党している。



 何なの?
 この党名変更。
 本当に腹が立つ。
 今まで次世代の党を応援してきたからこそ、徹底して批判したい。

 以前から保守言論人から「次世代の党」という党名について批判があったことは知っていた。
 たとえば、藤岡信勝氏が、党名は理念を表すべきであるがこの党名ではそれができていない、という批判をしていた覚えがある。
 「中山代表が、党勢を拡大するためには党の理念や考え方を国民に向けて明確に打ち出す必要があるとして、党名の変更を主張し」たとのことだが、こういう言論人の批判に応えたのだろう。
 私としても、「次世代の党」という党名は、別の観点から、いずれは変更が必要な名前だとは思っていた。
 仮に党勢拡大に成功し、この党が数十年存続したとしよう。政党として古くなってきたら、いくら次世代のための政治をすると言っても、「旧世代の党」になってしまう。
 だから、いずれは変更は避けられない党名なんだろうな、とは思っていた。
 しかし、なぜ今なのか。

 中山恭子代表は「党勢を拡大するため」と言うが、党勢拡大はすなわち選挙での得票数を増やし、当選者数を増やすことだ。
 では今回の党名変更が選挙対策として効果的なのか。
 そこで考えるべきは、中野正志幹事長の言う通り、「国政選挙でも地方選挙でも、残念ながら次世代の党の党名が受け入れられなかった厳しい現実」だ。
 なぜ次世代の党は昨年の総選挙で負けたのか。その理由を考えるべきだ。
 これについては、落選した杉田水脈前衆議院議員が言っていたと思うが、結党直後の総選挙になってしまい、党の知名度がなかったことが敗因の1つだと見てよいだろう。
 つまり、次世代の党の候補者は、小選挙区で勝てるのは一部のベテランの大物だけで、昨年の総選挙では平沼赳夫前代表と園田博之前顧問しか当選できなかった(そしてこの両者は自民党に復党してしまったため、現在勝てる候補者はいない)。
 なので、次世代の党の生命線は比例区で、東京ブロックではあと少しで議席を獲得できそうだった。
 比例区では党の知名度が重要なので、これを上げていく必要がある。
 そして、この1年間、「次世代の党」という党名は少しずつ浸透し、政党支持率も上向いてきたhttp://ameblo.jp/wada-masamune/entry-12104040892.html)。
 選挙のたびにお金をかけて候補者を立て、ポスターを貼り、政党名を連呼してきた。
 党員やサポーターも頑張って党名を周知する活動をしてきたはずだ。
 本ブログも、隙あらば「次世代の党」という言葉を記事に入れてきた。
 様々な人々の支援活動が実ってきたところだった。
 そしていよいよ選挙が迫ってきたこの時期に、「次世代の党」という党名をご破算にしてしまうとは何事か
 来年7月の国政選挙までに、新党名を旧党名以上に浸透させる見通しでもあるのか。
 次世代の党の実質的な前身は「たちあがれ日本」であり、たち日は自民党離党組の大物政治家が中心になって結成し、石原慎太郎都知事(当時)が命名し、それなりに話題性はあったと思うが、参院選では社民党以下の得票に沈んだ(http://urx.red/q6xG)。
 たち日以上に新党名を浸透させることなどできるのか。また社民党にすら勝てない得票数に終わるのではないか。
 たち日が参院選に臨んだ当時と今とではインターネットの影響力が異なり、今後の努力次第という部分もあるのだろうが、悲観的にならざるを得ない。
 今まで次世代の党に協力的だったサポーターが、これからも変わらず協力するだろうか。
 「今まで党名周知のために使った労力は何だったのか」と思われ、士気が下がるのではないか。
 せっかく政党支持率で社民党に並んできたのに、たち日の二の舞になってしまう気がしてならない。

 仮に党名変更自体は是としたとしよう。
 しかし、変更した党名が問題だ。
 はっきり言って、「日本のこころを大切にする党」など、ダサい。老人臭くて説教臭い。
 党勢拡大を図る新党名だとは思えない。
 しかも、言いにくいし覚えにくい。歯切れが悪い。連呼しにくい。
 「日本を元気にする会」ともカブっていて紛らわしい。
 大体、党名を抜本的に変えてしまうとはどういう発想だ。
 生活の党にしても日本維新の会にしても、党名変更したが、核となる「生活」「維新」は残している。
 それまで築いてきた知名度を維持しながら党名を変えるためだと考えてよいだろう。
 これが普通の発想だと思う。
 しかし、「日本のこころを大切にする党」だと、前身が「次世代の党」だとわからず、今までの知名度がリセットされてしまう(http://ameblo.jp/wada-masamune/entry-12107968615.html)。
 ていうか、中山代表たちはよほど「次世代」という言葉が嫌いだったんだなと思う。知名度を捨ててまでこの言葉を消したかったのかと。
 「日本のこころ」を党名に入れるのであれば、私だったら「次世代のために日本のこころを受け継ぐ党」くらいにする。これなら「次世代」を残すことができ、知名度を保つことができる。
 中山代表は、「次世代の党」という党名が高齢者に不評だったことを党名変更の理由の1つに挙げている(https://youtu.be/Q6wli-qN1fg?t=4m53s)。
 高齢者は投票率が高く、高齢者の票を狙うのはわかる。
 しかし、高齢者が目当てにしているのは高齢者向けの福祉の充実であり、次世代の党は特にこれの充実を訴えてきたわけでもなく、また、弱小野党なので福祉充実のために役に立ってくれるという期待も薄いだろう。
 「次世代」をハズして、高齢者票が増えるかというと、そんな気はしない。
 むしろ、「日本のこころを大切にする党」という党名だと、若者を引き寄せる力が弱いのではないか。
 若者は投票率が低いとはいえ、浮動票も多いような気がする。
 「次世代の党」という党名で消費税増税反対を力強く打ち出していけば、若者への訴求力はかなりあったのではないか。

 略称は「日本」だとのことだが、これもいかがなものか。
 この点は好評が多いような気がするが、あえて批判させてもらう。
 「日本」など、他の党の党名にも入っている。
 共産党も正式名称は「日本共産党」であり、上で述べたように「日本を元気にする会」も存在する。
 むしろこの党名の特徴は「こころ」ではないのか。
 「こころ」と言えば夏目漱石だが、次世代・・・じゃなかった、日本のこころを大切にする党(タイピングめんどい)の憲法論のブレーンの倉山満氏は、保守思想を考える上で夏目漱石を重視している(倉山満「<<嘘まみれ保守>>に憲法改正を任せるな! この国を滅ぼさないための重要な結論」(ヒカルランド、2015年))。
 「こころ」にも言及がある(同187ページ以下)。
 「こころ」の方が、それこそ「党の理念」をより反映しているのではないか。
 夏目漱石ブランドを利用するという手もあったのではないか。
 「日本」ではあまりにぼんやりしているのではないか。
 保守色を強く打ち出し、理念に共鳴する人の票を確保したいという思惑なのだろうが、「日本」よりもむしろ「こころ」の方が票が転がり込んでくる期待が持てそうだと思う。

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 チャンネル桜を見たら、水間政憲氏が、この略称は選挙対策として有効だと褒めていた(https://www.youtube.com/watch?v=Q6wli-qN1fg)。
 たち日の略称も「日本」だったなどと言っていた。
 では、そのたち日の選挙結果はどうだったのか。社民党以下だったではないか。
 失敗した選挙対策をまたやっているということにならないか。
 肯定する理由になっていない。追認するという結論先にありきの立論ではないか。馬鹿げている。
 不思議なのは、動画タイトルを見るに、チャンネル桜の各キャスターが今回の党名変更についてスルーしているところだ(あくまで動画タイトルを見ただけなので、本当は論じているのかもしれないが)。
 なぜ大々的に取り上げないのか。

 徹頭徹尾、何一つ理解できない党名変更だ。
 私が恐れるのは、党名変更を機に、打ち出す政策が変わることだ。
 特に経済政策。
 次世代の党は「アベノミクスは生ぬるい。消費税増税断固反対」という姿勢でこの数ヶ月、経済政策を打ち出してきた。
 この路線が変わってしまうのではないかと危惧する。

 今回の党名変更を巡り、江口克彦参議院議員が離党してしまった(http://www.sankei.com/politics/news/151217/plt1512170063-n1.html)。
 かかる犠牲を払ってまですることだったのだろうか。
 しかも、党幹部の一部、というか、党名変更に賛成票を投じた2名の意向のみによって決められてしまったようで、手続きに不透明さを感じざるを得ない。
 中山代表が強権的に進めたようだが、理念先行で選挙度外視で、しかも手続き的にも疑義があり、不信感が募る。

 日本のこころを大切にする党は、発足の瞬間から暗礁に乗り上げている。
 はっきり言って、有望な政治家は、江口議員のように離党した方がいいと思う。
 この党に将来はない。
 落選中の有望株は飼い殺しだ。
 この党名変更に1つ理解を示せるとしたら、おおさか維新の会に合流するお膳立てとしての党名変更だ。
 たちあがれ日本が太陽の党に党名変更し、日本維新の会に合流した時のように。
 日本を元気に・・・じゃなかった、”日本”のこころを大切にする党とおおさか”維新の会”が合体すれば、日本維新の会復活ではないか(そういう党名を本当につけてよいかどうかは知らないが)。
 確か、橋下徹共同代表(当時)が結いの党と組むことに不満を持つ政治家たちが離党して、次世代の党が結成されたのではなかったか。
 今や橋下氏は代表を退き、おおさか維新の会は結いの党と手を切っており、離党組が復帰する理由はあると思う。

 和田政宗参議院議員は今回の党名変更に反対票を投じた。
 和田議員はこれからどうするのだろうか。
 次世代の党はなんだかんだ言って社民党並みの国会議員数と政党支持率を有し、マスメディアにおいて社民党並みの扱いは期待できた。
 しかし、国会議員数が五人を割り込み、政党支持率もゼロから出直しになってしまうと、マスメディアでの露出も減ってしまうのではないか。

 来年の参院選、もしくは衆参同日選挙で、党勢拡大に失敗したら、党名変更を強行した幹部たちは責任を取るのか。
 こう言っては悪いが、平沼前代表は、見方によっては、昨年の総選挙に負けた責任を取るといって代表を退き、自民党に戻ってしまったと言える。
 中山代表も、まさか同じことするのではないか。責任を取ると言って代表を退き、自民党に行ってしまうのではないか。選挙に負けることが自民党に行く大義名分になってしまうのではないか。
 もしそうなったとき、党に残るのは党名変更に反対した和田議員になり、この党名を背負っていくという変な話になる。
 さすがにそれは勘繰りすぎで、そんな悲惨なことにはならないとは思うが、とにかく、和田議員の政治生命を潰すわけにはいかない。
 和田議員は離党を検討すべきだと思う。
 この党に残っても「詰み」だと思う。
 まぁ、来年の国政選挙で党勢拡大に成功すればよいのではあるが、その確率が高いとは思えない。

 党名変更には利害得失がある。
 しかし、害の方が圧倒的に大きいのではないか。
 次世代の党を応援してきた私ですらここまで不信感を抱くのだから、害はかなりあるだろう。
 保守言論人からは好評の声が見られるが、政党支持率を下げたくないという気持ちのあまり、批判を控えているのではないか。
 中山代表周辺(旧たち日系とその応援団)の結束は固まったかもしれないが、党に亀裂が入ったように思われる。
 ていうか、現に離党者が出た以上、亀裂は入った。
 表向きは党の決定に従うとしている党員たちも、内心はどうか。
 今までは平沼議員の下に結束してきたが、その平沼議員はもういない。
 離党者が相次いでいるという悪印象を払拭するという意味もあって党名変更に及んだのではないかとも思うが、むしろ党の解体を促進してしまっている。
 少なくとも、今回の党名変更で、真剣に選挙に勝つ気がないのだなという印象を、支持者たちに与えてしまったのではないか。

 支離滅裂。前途多難。
 しなくていい苦労をわざわざ背負いこんだ。
 それが今回の党名変更の感想だ。


<2016年11月25日追記>


 「中山代表も、まさか同じことするのではないか。責任を取ると言って代表を退き、自民党に行ってしまうのではないか。」と書いたが、これは誤りだったので訂正する。
 毎日新聞によると、「こころに残る2人は比例選出で、政党間移動を禁じた法律のため自民党への入党はできない。」とのことである(http://mainichi.jp/articles/20161119/k00/00m/010/163000c)。