皿盛 | BJ-M

皿盛

町の蕎麦屋には、庶民的な店ほどジャンルを超えた料理があった。

ラーメンや焼きそば、カレーや炒飯まであったりする。

 

で、そんな店はもう「何でもござれ」な店だからこそ、

街の台所の様な扱いになって、かなりの人気店になりやすい。

 

自宅そばにあった蕎麦屋もそっち系で、

ハンバーグライスとかが普通にあってかなり大盛りで、

ビール頼んだらドカンと漬物が無料のアテでついてきたりする

楽しさがあった事を思い出す。

 

だがそんな店は、店主の引退によって消えていきやすい。

ありがたかったその店も閉店に追い込まれ、

仕方無くハンバーグは松屋で食べる事になってしまった。

 

今回の京都一泊旅行では、そんな街の食堂でどうしても食べたい料理があって、

混むだろう正午前を狙って行ってみたが、既に第一陣が入店していて入れなかった。

 

 

 

 

入店待ちをしている人に聞いてみれば「回転は早いからすぐだよ」とのこと。

 

それにしても、店前に貼ってあるメニューを見たら、かなり安いのに驚く。

昨日の行った「松葉」じゃ「せいろ」が1100円(税込)もするのに、

「うどん・そば」が400円って・・・大丈夫か?

 

まぁ、そこがこの手の店の嬉しいところでもあるんだが、

「カレーうどん」でも600円ってのは、マジに心配になるよ。

 

 

 

 

暑いのにすみません・・と書かれた紙を見つつ、

冷やし系のオーダーが多いんだろうな・・と想像もする。

 

それと、確かにテンポよく退店していく人が多いから、

相席できないシステムが功を奏しているのかも知れない。

 

「どうぞ、次の方〜」と声をかけられて入って、ちょっとゾッとした。

 

あ・・・

見た事がある風景だ・・・

 

 

 

 

床はタイルが張ってあったり小上がりがあったりするけど、

その光景は昔見た夢の世界とほぼ同一だったのだ。

 

それは、撮影の後にモデルとこんな町の食堂で食事&飲みをする夢で、

汗をかいたビール瓶から安っぽいグラスにビールを注ぎ、

喉をカッと開けて一気に流し込む飲み方をした感触が蘇った。

 

彼女は横並びに座り、上海焼きそばと餃子をアテにビールと酒を飲み倒す。

汗だくで疲れたオヤジと化粧映えする小娘の酔っ払いは注目を浴びるが、

良い感じになる前に目が醒めるのは、お約束だったりする。

 

 

 

 

こういう時はラガーじゃん?・・と頼んだけど、大瓶はデカかった。

梅雨明けしてないのに、ちょっと歩くだけで汗だくになる気候には、

やっぱそういう飲み方が楽しいけど、腹が一杯になりそうで恐い。

 

それにしてもこの店、何故ビールは小瓶と大瓶なんだろう。

 

 

 

 

で・・・

目的だった「皿盛」をオーダーする。

 

この料理名は、京阪電鉄職員たちが「ご飯にカツとカレーうどんの餡を乗せて」と

無茶振りしたあげく「丼じゃ熱くて食べにくいから皿に盛って」と注文した裏メニュー。

 

なので店側も「皿に盛ったやつ」と注文を通す時に言うようになって、

一般客にも出すようになった時に「皿盛」と命名したんだとか。

 

 

 

 

この、スプーンを紙ナプキンで包んだスタイル、昭和だよね(^_^;

 

それにしても見事に薄いカツではあるが、この時代に800円って設定だから

文句なんてあろうハズも無いワケです。

 

 

 

 

あ・・

これは楽しい!

 

排骨ほどじゃないけど衣にちょっと工夫があって、

カリカリな食感が気持ち良い。

 

カレー餡は出汁にカレー風味がついた感じのもので、かなりのトロミ。

確かにこれは、皿の盛らないと熱くて食べにくいだろうね。

 

ネギと肉がちょっと入ったこの餡で食べるご飯は蕎麦屋的だし、

カツはビールのアテにも良くて進むんだけど、

流石に淡い味わいなので徐々に飽きがくる。

 

なので、テーブル上に「使え」と言わんばかりにあるソースと七味?

(唐辛子・陳皮・胡麻の三味か?)をサラッとかけてみた。

 

 

 

 

あ〜〜〜

これは良いね。

ソースとの相性はかなり楽しめる。

 

ご飯少なめで頼んだけど、これなら普通盛りでもいけたかも知れない。

こうなってくると、普通のカツカレーも食べてみたくなるね。

 

それにしても皆さん、入店と同時に注文するのが決まりの様で、

「皿盛」か「中華そば」の2択なのか?ってくらい、どちらかを注文していた。

 

しかも、料理が出ればスッと食べて、スッと出る・・と言う

スピード感溢れる感じでの滞在。

テーブル席に1人で座ってる人が多くいても、

長居しそうな客がいないのは平日の昼って事もあるのかな。

 

こっちは大瓶をやっつけながら熱々の皿盛りをゆるゆると食べてるんだが、

後から入った客に何人追い越されたのだろうって、数えたくなった。

 

と言う事で、宿に戻って預けた荷物をピックアップし、

家路につくことにしよう。

 

ごちそうさまでした。