すき焼きも色々 | BJ-M

すき焼きも色々

京都で食べたい物の一つに、牛肉料理がある。

何故なら、間違いなく美味いからだ。

 

牛カツ、すき焼き、ステーキ丼、牛タンハリハリ鍋・・・・

勿論ステーキも焼肉も外せないけど、美味しい物は価格も比例するので

コストパフォーマンスを考えて選ぶのが常。

 

とは言え、誰もが美味いと称賛する店でも食べないと、

物差しが出来上がらないから、時には無理をする。

 

そんな無理をした記憶の中にあったのは

明治6年創業の老舗すき焼き店「三嶋亭」だった。

 

 

 

 

有名店は基本的にフルサービス。

良質な肉を、良い焼き具合で食べさせるためなのかは知らないけど、

仲居さんが手際良く、店の流儀に従って調理をしてくれる。

 

当然だけどコストは高くなり、安いコースでも現在価格で175,45円。

だから行った時は昼のコースでそれでも8,000円超えだったと記憶している。

 

最初に牛脂を鍋で溶かしてから砂糖をふりかけて鍋全体に広げる。

その上に肉を広げて置き、片面にある程度火が入った時点で肉に割下を振りかける。

ひっくり返し、その面に火が入ったところで肉を四つ折りにして、客に食べ時だと示す。

 

客は溶き卵に肉を浸して冷やし、食べる。

 

 

 

 

もう、これが美味くないワケはないんだけど、

最上だろう肉を甘辛く焼いて卵で円やかにする食べ方は、すき焼きならではの味。

 

美味いな〜・・と思っている時には既に、

仲居さんが空いた鍋にさらに牛脂を溶かし、タマネギを投入して広げている。

 

続いてシラタキを投入し鍋肌の脂を纏わせ、豆腐、丸麩、九条ネギ等を並べていく。

そしてその上に砂糖を振りかけてから割下をかけ回し、加熱。

 

火が通ったところでご飯と香の物等が供され、

野菜などを食べていると、空いたスペースでさらに牛肉を焼く・・・

 

 

 

 

 

もうね、そのビジュアルと手順が頭に焼き付いてしまい

すき焼きってそういう手順で食べるものだって、すり込まれてしまったのだ。

 

とは言え家庭で作る時は、そこまでちゃんとした作り方なんかやってられない。

肉は最初に焼くけど、すぐに割下と野菜を入れ込んで一緒に煮ちゃうという手抜きになる。

 

と言う事で、せっかく京都に来たんだから「すき焼き」食べたいじゃん?

 

・・となっている感情を満たすべく、どうせなら三嶋亭の様なアッパーな店では無く、

庶民的で人気があって美味しい店を探してみた。

 

安いったってランチなのに5,000円程度する店がネットに出てきちゃうけど、

その中で3,000円代の店がヒット。

 

昭和7年創業とあるので老舗と言うべき店になるのだが、

ランチセットだと2,200円でご飯&漬物が付いてくる、とあった。

 

これはもう、行くしかない。

場所は中京区寺町四条上大文字300とあるので、

四条河原町からほど近いようだ。

 

 

 

 

足が痛いので、バス停から3分とあってもその倍は時間がかかる感じで、

目指す商店街に辿り着く。

 

少し歩くと、なるほど昭和の名店だろう・・という店構えが見えた。

 

 

 

 

「すいません、予約してます・・・」

 

「どうぞ、お二階へ。

 あぁ、階段じゃなくてエレベータをお使いください」

 

 

杖を使って歩いてきた私を見て、下足番の男性が気を利かしてくれた。

エレベータで2階に上がると、廊下には順番待ちの人がかなりの人数で待っている。

 

店員は忙しそうに歩き回り予約した客がどうかも確認しないので、

人気店ならではのドタバタを垣間見た気がした。

 

仕方無くキャッシャーで予約した旨を伝えたら、

すぐさま予約客用に座敷に通されたけど、

そこにいる客席の半数以上は外国人だったのは驚いた。

 

 

「ランチセットは2,200円でご飯がつきますが、

 3,300円でロースがあって、そちらにはご飯が付きません。

 でも、肉としてはロースの方をオススメします。」

 

 

と、金髪なお姉さんに説明を受ける。

 

まぁ、当然だけどロースを注文。

3,300円+ご飯でも3,500円だから、メチャ安に感じる。

 

 

「お待たせしました。

 こちらがロースです。

 焼き方はこの説明書をご覧ください。」

 

 

例の金髪なお姉さんが、

肉&野菜と調理法を図解した手引書がを持ってきた。

 

なるほど、安い理由の一つとして

調理は全て客がやるって事なんだね。

 

では、肉を焼いて・・・と、え?

ちょっと待て??

 

この手引書によると、

最初に野菜を焼けってあるよ???

 

ただ、割下を最初から入れて煮込まないので、

関西系な作り方?のアレンジなのかなぁ・・・

 

セルフサービスだから普通に関西風にやっちゃってもいいかな?

いやいや、ここは店のやり方に従う事にしようよ。

 

肉の量は値段なりに少ないから、それを美味く食べるやり方なんだろうしね。

 

 

 

 

・・・と、とにかく野菜と豆腐を牛脂を溶かした鍋にぶち込んだが、

野菜から水が出るまで、ただただ加熱するのみ。

 

手順によると、この上に肉を広げて乗せる・・とある。

 

 

 

 

デカい肉だね(薄いから肉追加)

ちょっとサシが多いから、良いクラスの肉なのだろう。

 

で・・・

砂糖をその上にまぶして、割下をかけ回すとある。

 

 

 

 

そして煮込むと・・・

 

 

 

 

まぁ、こんな感じですよ。

京都のすき焼きってタマネギとお麩が入るのは定番なの?

 

って思いつつも、あまり肉は加熱しないで食べた方が良いよね。

 

 

 

 

あ〜〜〜

すっげぇ美味い!!

 

そりゃ、三嶋亭と比べちゃダメだけど、

肉としての美味さはちょっと凄くて、感動的。

 

まぁ自分、コストパフォーマンスが良い食事が好きなんで、

純粋に味を比べる事はしないけど、脂の量とかが好みな肉だったので

この店、「また来たい店リスト」に入れようと思ってしまった。

 

ビールはスーパードライしかないってのは残念だけど、

お酒にすれば良いし、予約していればすんなりと入れるのも嬉しい。

 

と、そこへ予約で来た女子1名が隣のテーブルに座った。

さっきの金髪なお姉さんが流暢な英語で説明を始める。

 

この人も外国人観光客なんだね。

街中も外国人観光客ばかりだから当然だろうけど、

セルフサービスで作れるかなぁ・・・

 

なんて思ってたら、

いきなりスマホとビデオカメラで撮影を始めた。

 

もしかして、ライブ配信?

すき焼きを作りつつ喋り、食べつつ喋る。

 

箸で肉をつまみ上げて、写真を撮る。

そして食べて感想を喋る。

 

そういう時代なんだなぁ・・

と思いつつペロッと食べたすき焼きは、

それなりのボリュームで満足できた。

 

実は、帰りの新幹線で「はつだ」の「和牛弁当」を

夕飯に食べようと考えていたんだけど、

このすき焼きで満足できちゃったのでお弁当購入は中止。

足が痛いので、JRのエクスプレス予約で出発時間を変更し、

早く自宅に戻る事にした。

 

それにしても、老化現象+長年付き合ってきたトラブルによって、

こうも動きが取れなくなるとは思わなかったね。

 

明後日の写真講座は休めないから明日は丸々寝て過ごして回復を待つけど、

まぁ、たっぷりタンパク質な食事をしたので、どうにかなると信じたい。

 

それでも痛かったら例によってコルセット&サポーターで身体を締め上げ、

あとは気合いでアドレナリン出して、頑張ろう。

 

ごちそうさまでした。