重慶飯店でコース「吉祥」 | BJ-M

重慶飯店でコース「吉祥」

考えてみれば、重慶飯店との付き合いは長い。

 

職場が中華街の中に引っ越す前から、

スタッフと一緒に食事に出かける店の一つとして重慶飯店本店があったし、

ローズホテルのミリー・ラフォーレではよくカレーを食べに行っていた。

 

そしてある時期からドラゴンポイントという制度を組み込んだメンバーズカードができ、

よく使う事からメンバーになっていた。

ただ、利用回数に応じて設定された特典がシステム的に提供されなかった事もあって、

クレームもそれなりに入ったのだと思う。

 

システムが一新され、スマートフォンのアプリで使えるようになってからは、

その特典も利用しやすくなっていた。

 

で・・・

今日は、利用100回記念の特典でディナーを食べられる事になったので、

久々に本店で食べてみる事にしたのだが・・・

 

四川料理店なのに提供されるコースが広東料理系?

 

何故?

・・な気持ちを持ちつつも食べさせて頂く立場なので、興味津々で料理を待った。

 

 

 

「六種前菜盛り合わせ」

 

中華のコースの場合は必ず前菜が出てくるが、

これは食欲を増進させるために少量で出すのが基本で、

円卓だと上席から取るのがマナーになっている。

 

こうやって個別に出すのはヌーベルシノワの流儀で、

元々はポール・ボキューズ氏が日本の懐石料理に出会って完成させたと言われる

ヌーベルキュイジーヌの影響を受けて香港で発生したらしい。

 

日本ではトゥーランドットの脇屋氏が始めたと言われているけど、

中華街の聘珍樓は80年代後半に香港に支店を持った事から、

ヌーベルシノワの流儀が本店でも展開されていたように記憶している。

 

でもね、個人的には好きな冷菜を選んで食べた方が好きなんだよね。

重慶飯店の叉焼は好物なので、もっと欲しいと思っちゃうんだな。

 

で、この後、怒濤のコース料理がやってくるワケだが、

案の定、全ての料理が取り分けられて出るスタイルだった。

 

 

 

「殻付き海老とホタテの漁師風香味炒め」    「牛ヒレ肉と季節野菜のオイスターソース炒め」 

「干し貝柱入りフカヒレの姿煮 白きくらげ添え」 「桜海老入り焼売と海鮮入り春菊巻き揚げ」  

 

顔見知りになった売店のおばちゃん曰く「フカヒレスープが出るからお得」なコースらしい。

 

味付けは基本的に穏やかで、重慶飯店らしい味濃く辛いといったイメージは無かった。

とは言え、やっぱり四川料理な味わいが欲しくなる。

 

メインとなるフカヒレの姿煮に合わせての味の展開なんだと思うのは、

シメに用意される主食(ご飯もの)が「おこわ」になっていたからだ。

 

 

 

「赤松鯛の梅風味甘酢あんかけ」        「中華風おこわ」        

 

 

とても美しい姿な料理だったけど、

味わいは優しすぎて物足りない感が最後まで残った。

 

最後のご飯物が炒飯だったり麺物だったらそう思わなかったと思うけど、

それはいくら何でも食べ過ぎか。

 

ならばやっぱりどこかで、四川な味わいも楽しめる工夫が欲しかったのだろう。

(「赤松鯛の梅風味甘酢あんかけ」におこげが少量入ってはいたけど)

 

デザートは「フルーツ入りココナッツミルク」になっていて

麻辣な味に痺れた舌には楽しそうだけど、甘いココナッツミルクなので

どうでも良くなって写真撮らなかった・・と。

 

これならアラカルトで好きな物を頼むなって思ったけど、

その場合の問題は「料理が出る順番」にある。

 

と言うのも、中華街の店でアラカルトで頼むと、

厨房の都合で順番無視で出てくるのが当たり前なのだ。

 

例えば、野菜料理として「レタスの湯引き」魚介料理として「海老チリ」、

肉料理として「麻婆豆腐」、そしてご飯物として炒飯の四種をオーダーしたとする。

 

で、料理を待っていると最初に「炒飯」、次に「海老チリ」、そして「麻婆豆腐」

が出てから最後に「レタスの湯引き」が出る、というパターンがあるのだ。

 

「炒飯」は最後だろ?って文句をビールで飲み込みつつ「海老チリ」つまんで、

やっぱり野菜が欲しいなぁ・・と思ってる所に「麻婆豆腐」が登場する。

 

もう、最初に腹減ってて「炒飯」殆ど食べちゃってて、塩も麻辣味も強い「麻婆豆腐」を

単品じゃキツイから・・とビールお代わりしたり「白飯」を追加したりして、

ほぼ満腹になった時に「レタスの湯引き」(XO醤とかがかかってたりする)料理が出る。

(追加注文狙い?) 

 

だからそんな悲劇が起こらないよう、

時間に余裕がある時は酒と前菜だけを頼んで楽しみ、

それが出てきたタイミングで主菜となるものをオーダーしつつ飲み、

空腹度合いを判断して最後の主食(炭水化物系ね)を食べるかどうか判断する・・・

ってのが、中華街アラカルトの達人技なのですな。

 

そういう意味では、1人分に小分けされて順番も守って出る形は嬉しいね。

コースで食べれば順番は守ってくれるけど、料理を取る順番とかを気にしないで済むなら

ヌーベルシノワの流儀でコースを食べる価値というか意味というかは、大きいのかも。

 

利用200回目に、またこのディナーコースを食べるかわからないけど、

冷凍の飲茶セットやロースホテル宿泊券に比べたら価値はあるので、

何年後かに今日を思い出して悩むのだろうね。

 

重慶飯店で四川料理を食べなかった初めての経験は、

物足りなさが記憶によるものだと理解しても、残念に感じる貴重な体験でしたとさ。

 

ごちそうさまでした。