小話を一つ。

江戸時代末期、幕末の独り身侍は今でいう寮のように多人数で住んでおったそうな・・・。

一助『いや~最近の御時世にすき焼きとやらとの食い物がお殿様はお好きそうだ』
二助『へぇ~そりゃたいそうなもんを食うんでやんすか。

三助『こないだまで、まんじゅうがお好きではねがったか?

一助『そりゃお殿様だがらねぇ、次から次へと気に入っては異国のモノを取り入れるそうな』

二助『はぁ~あ。いいご身分だなぁ』

三助『そりゃお殿様だから異国の物が気になるんでしょうに。』

一助『そりゃそうだが、隣の旦那からまんじゅうもらったんでぃ。食うべや?』
二助『そりゃいい!!俺らにはまんじゅうで十分だや』

三助『たまには隣で寝込んでる四助も呼ぶか。』

三助『うぉーい!!四助!!まんじゅうくうべや』

四助『いらねーよ。』

一助『たまには顔だせや。食うぞ!!』

四助『いらねーって!!』
二助『つれねーな』


そして、優しい三助は隣の部屋の枕元にまんじゅうをおこうとした。

四助『やめねぇかい!!』
一助『なんだい、なんだい。人がせっかく。』

四助『おらぁ、まんじゅうが怖くて怖くてたまんねんだよ。』

二助『おもしれぇ奴だ。そんな奴にやることねーよ。』

一助『ん~おもしれーな。んじゃ、夜枕元にまんじゅうおいて脅かそう!!』

二助『いいねぇ。』

その夜、一助、二助は四助の部屋に忍び込み、枕元にまんじゅうを置いた。

・・・朝。
一助『ありゃ、まんじゅうがねぇ』

二助『ホントだ。四助!!まんじゅうどこにやった!!』

四助『しらねーよ。』

二助『たしかに枕元にまんじゅうおいたはずだ』

四助『しらねよ』


・・・その五日後

一助『また、まんじゅうが隣の旦那から頂いたぞ』

二助・三助『食おう!!』
一助『また四助の奴を脅かそう。前は変なことになくなっちまったからな』

二助『やるか!!』

一助はとなりの部屋に寝ている四助の枕元にまんじゅうを置き襖を閉めた。

二助『これで脅くぞ』

5分過ぎても何も音がしない。不思議に思った一助は襖をゆっくり開けてみた。
そしたら、なんと四助はまんじゅうが口に入らないくらい入れ、両手にもまんじゅうを持って食っていた。
一助『てやんでぃ!!おまえはまんじゅうがこわいんじゃなかったのか!!』

二助『そうだ!!』

すると四助は笑顔で・・・

四助『まんじゅうは怖いよ~!!でも、今は蕎麦が怖い。』





終わり。
ご静聴ありがとうございましたwww