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余命宣告 第29話 魔界転生
「あんた、ラッキーボーイよ~」
そう叫ぶ高嶋医師の言葉で
目が覚めた。
麻酔が切れて目の前に広がるおぼろげな世界。
目の前にいたのは
未だ緑の手術着のままの
高嶋医師の姿であった。
その向こうにはぼんやりと
両親、妹、義理の両親
そして、妻の姿がみえる。
私は手術の直前まで
健忘症にかかっていた。
妻の事は記憶にあまり無い。
しかし、この時はハッキリと
妻の事を覚えている。
カーテン越しにはわずかばかりの木漏れ日が・・・・
「俺は・・・・・・・・・生きていた。」
ただ、生きていたことにこの上ない感謝だった。
耳も聞こえた。
両方の手足も動く。
記憶も蘇った。
そして、
「○○」
と妻の名前も
口に出す事が出来た。
高嶋医師の言葉では、
腫瘍は吸引機でずるずると引き出せたらしい。
他の神経や血管と腫瘍の癒着も無く
容易に取りだせた非常に稀なケースであった。
しかも、不思議な事に
私の左脳は構造が特殊に構成されており、
血管や神経の構造と量が簡易化されていた。
つまり、「8センチ」に及ぶ腫瘍のほとんどが、
主要な神経や血管の網の目を掻い潜る様に
構成されており、癒着が無かったと説明があった。
手術の予定時間は18時間。
しかし、今は夕暮れ時である。
予定より8時間早い「10時間」で私の手術は終了していた。
「私もこれまでの経験や症例では、初めてのケースです。
奇跡としか言いようがありません。
何かに強く守られたいたとしか思えません。
また、輸血もしていません。」
高嶋医師はことのほか、手術の成功を喜んでいた。
私は死神に勝ったのだ!
自由な体に感謝!
「生きる」ことに感謝!
生まれてきたことに感謝!
「ご先祖にに守られたとばい。」
父が涙を流しながら
私へ声をかける。
私はつくづく、
祖父とご先祖に
生かして頂いた事に感謝した。
今日から新しい人生が始まる。
もう一度、生まれ変わったんだ!
そんな実感が沸いていた。
しばらく眠ったのだろうか。
目の前に人影が・・・・・
私が独立する前に勤めた
法律事務所の所長の姿だ。
司法試験時代にお世話になった師匠だった。
「M先生!M先生!」
私は麻酔が切れる最中で、
師匠を、呼んでいたらしい。
私がおぼろげな感覚で呼ぶその言葉の中で
妻が師匠へ電話してくれていた。
師匠はその電話で病院へ駆けつけてくれていた。
私が起業した中で、
最もお手本にし、最も尊敬申し上げていたのが
師匠であるM先生だった。
「良く、頑張ったね~」
私の手を強く握り締めていたのは、
師匠だった。