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前回のお話 余命宣告 第25話


妻は、とんでもない本性を


持っていた。


柔らかい見た目・・・・・


いつも、人に好かれる人間性であった。


妻は友人が多い。


そして、もう彼女は看護師達とかなり仲良くなっていた。


看護師達の間で私達は、結婚式前に大病を患った


「悲劇のカップル」


として病院の話題の的であったらしい。


「もう長くは生きれないご主人なのに・・・・


 なんと健気な奥さんなの?」


看護師達の中では、そんな思いもあったらしい。


大分看護師達は、私に特別に良くしてくれていた。


妻の人間性があったからかもしれない。



そして、もう一つの彼女の素顔は・・・・


このチンピラたちを恫喝できるほどの気性を秘めていた。


そして、妻と父は密かに裏で何かを進めていた。



私の健忘症もやや改善され


少しづつ物事の判別や記憶も取り戻しつつあった。


脳血管撮影


手術を目前にした、最後の私の検査である。


私の脳の血管の構造や腫瘍の進行状況を検査する。


太ももからカテーテルを脳まで通し


脳内へ造影剤を注入する。


重要な検査である為に


何故か、家族全員が集まっていた。


そして、もう一つの何故か?


友人の大籠君が家族のように


病室にいた。


私の母と歓談している。


妹が妻へ聞いた。


「大籠さんは仕事なんしよるの?」


母は


「何もしよらんのや無い?毎日来てくれとるし・・・・」



大籠秀雄・・・・・・・


大籠君は土木関係の個人事業主。


彼は5人の子供を抱えながら


仕事そっちのけで


所属する経営者団体の行事にはフル出勤。


頭が弱く


しかも、情に厚く人の為には


無駄な労力を惜しまない。


明朗会計、単純馬鹿


憎めない、イイ奴。


何度も会社を潰しかけ、従業員には逃げられ、その他もろもろ・・・


彼の懇願で何度私は、彼の救済に走った事か・・・・・


彼が私が死にかけた、まさにこの時に


家族と同様に私のそばにいてくれた彼だったからである。


彼の口癖は


「俺がお前を助けたろう?」


いつまで、私はお前のこの恩義に縛られないといけないのか?


笑笑笑



閑話休題



話を戻そう。



家族と大籠に見送られ


ひんやりとした撮影室へ・・・・・・


正直怖い。


たくさんの医師と看護婦に囲まれ、


これから1時間半をこの冷たい空間で過ごすのだ。


局所麻酔で太ももを切開され


カテーテルを脳まで通す。


「もう、脳まで到達していますよ。」


医師の言葉だった。


はやいっ


全く痛みも何も無い!


医療はここまで進んでいるのか!


そんな感動さえ覚える。


「頭が熱くなりますよ」


かぁ~っと


私の左の脳が熱くなるがわかった。


私は言葉を失っているために


反応が出きないが・・・・・


「ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」


医師の落胆のため息が聞こえる。


「こんなに進行しているの?」


「先生!血腫と石灰化がすごいですね。」


「・・・・癒着がひどいんじゃないの?」


「特異な血管構造ですね・・・」


「俺って私は本当にやばいんだ~」


私に聞こえる医師たちの会話は


あまり気持ちいいものではなかった。



こんな、不気味なやりとりが続き


私はICUへ戻った。



カテーテルを挿入した傷跡は


縫わないらしい。


安静を保ち傷口へガーゼをあてたまま


「一晩安静にせねば」と言う事だった。


その日は妻が、私が眠りにつくまで


そばにいてくれた。



翌日


手術前日!


ついに私の頭が


剃りあげられる日がやってきた。