私と、父と母、そして妻が
診察へ呼ばれる。
メインが私で、隣が父。その後ろに母。
私の妻は私の後ろにひっそりと構えていた。
診療室一面に広がる
私の脳のMRI画像たち
高嶋医師は
簡単に私達への挨拶を終わらせ
早速、病状の説明に入った。
結論が見出せない、
病状説明が続いた。
「結局、私の病状は・・・・」
結論を急ぎたい私であった。
その時、高嶋医師が
「結婚式を目の前にしたご夫婦には・・・・・・」
ドラマの様な
「コテコテ」の言葉。
現実とは思えない、
ドラマの1シーンの様な言葉が
高嶋医師の口から
放たれた。
「大変申し上げ
にくいんですが・・・・・
モリチンさんに巣くっている病巣は
神経膠腫(グリオーマ)
という、現代医学をもってしても
大変根治が難しい脳腫瘍に
侵されている可能性が高いです。
脳内からの出血も始まっており、
何時、命の危険が訪れてもおかしくない状況にあります。
主病巣は「8センチ」に及びます。
私はこれまで2000人以上の脳腫瘍患者を
手術してきましたが、
これほど発達した脳腫瘍はあまり見た事が
ありません。
この様な病状で、今の様に
普通にいることが不思議です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
病状からして、長い生存は見込めないかもしれません。」
医師から告げられた命の期限であった。
その時、父が嗚咽と号泣の中、椅子から崩れ落ち、
高嶋先生にすがりついた。
「しぇんせー、どげんかならんとですか?
先生、どうにかなりませんか?
こいは、決して悪か奴やなかとです。
こいつは、決して悪い人間じゃないんです。
こいがたすかっためない、なんでんしますけん
こいつの命が助かるのなら、何でもしますから
どうか、こいば助けてくんしゃい。
どうか、こいつを助けてください。
おいは、退職金がでたばかりです。
私は、退職金が出たばかりです。
山ばうったっちゃよかです。
山を売ってもかまいません。
どげんかして、こいば助けてやってくんしゃい。
どうにか、こいつを助けてあげてください。
おおおおおおおおお~」
父が号泣していた。
ここまで、崩れた父は初めて見た。
当然だ・・・・・・
ダメな息子でも、
手塩にかけて育てた子供だ。
私は、心の中からこんな事になってしまった事を
父に詫びた。
母は泣きながら、
そんな父の背中を叩き、
「あんたが、泣いてどがんすっとね。
いちばんつらかこいが
泣きよらんとに・・・」
私の中で、会社、借金、そして・・・
これから幸せにしていけなければならない
妻
の事が頭によぎった。
自分の命に対する未練は
不思議と、全く思う事がなかった。
私は、ある決断の下
高嶋医師に問いかけた
「私は、あと・・・・・・・
どれくらい生きる事ができますか?」
