皆様こんばんは、備前国鉄道(びぜんのくにてつどう)です。

 

いつも当ブログにご訪問いただきまして、誠にありがとうございます。

 

新型コロナウイルスの影響で外出の自粛が呼びかけられていますが、ずっと自宅に引き籠もっているという訳にも行きません。

 

食料品の買い物を積極的に引き受けたり、たまに撮り鉄をしに行ったり(もちろん十分な対策をしています)していますが、普段通る道ばかりを行き来してもつまらなくなって来ます…。

 

ということで、今日の午後、1984年に廃止となった岡山臨港鉄道の廃線跡ウォークをして来ましたので、そのことを書いていきたいと思います。

 

岡山臨港鉄道は、1951年から1984年まで、大元駅から岡山港駅までを結んでいた鉄道です。

 

太平洋戦争末期、宇野線の大元(おおもと)駅と岡南(こうなん)地区にあった軍需工場を結ぶ鉄道路線が計画されました。

 

戦時中に着工されたものの、戦争の終結によって工事は中断。

 

途中まで敷設されていたレールは放置されていましたが、岡南地区にあった汽車製造岡山製作所(鉄道車両メーカー)の資材搬入と完成した車両の搬出のために工事を再開。

 

1947年に開通し、当初は国鉄広島鉄道局岡山管理部が運行管理を所管し、岡山駅から国鉄の客車列車が1日1往復したいたそうです。

 

1950年に汽車製造が岡山製作所を閉鎖することになった際、沿線企業と岡山県・岡山市を株主とする岡山臨港鉄道株式会社が設立され、1951年に同社が運行を始めました。

 

1968年には、貨物輸送実績が史上最高となる年間29万2000トンに達したものの、旅客輸送のほうは、沿線の路線バス拡充のあおりを受けて利用者数が減少傾向に。

 

1973年に岡南元町~岡山港間の旅客輸送を廃止、本数を1日4往復にまで削減したものの利用者数の減少に歯止めはかからず、さらには国鉄が貨物列車の運行方式を大規模に変更(貨物ヤード方式を廃止)したことで鉄道の存続が困難になり、1984年12月29日に最終運行、翌30日に全線廃止となりました。

 

↑現役当時の岡山臨港鉄道。ウィキペギアより転載させていただきました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/岡山臨港鉄道

 

岡山臨港鉄道の駅

大元ー岡南新保ー岡南泉田ー岡南福田ー並木町ー岡南元町ー南岡山ー岡山港

 

 

今回の廃線跡ウォークは、岡山市南区海岸通にある岡山臨港倉庫運輸の本社前からスタートし、JR宇野線の大元駅を目指しました。

 

このあたりにはかつて岡南元町駅が置かれており、線路はさらに南東の方向(南岡山・岡山港)まで伸びていましたが、工場が建ち並んでいるエリアになるので今回はパス。

 

岡南元町駅→大元駅間、つまり、晩年の旅客列車運行区間を歩いて行くという訳です。

 

本社前には、臨港鉄道で使われていたディーゼル機関車が保存されています。

 

↑並木町駅跡付近。

 

スタート地点から西へ約1km。

 

南区並木町にあるこちらのスロット店の裏側あたりに、「並木町(なみきちょう)駅」があったそうですが、現在は駐車場や民家になっていて、駅の痕跡は特にありませんでした。

 

 

並木町駅の次は、「岡南福田(こうなんふくだ)駅」です。

 

上の写真に写っている建屋は「岡山臨港 福田倉庫」。

 

岡山臨港とは、岡山臨港鉄道を前身とする総合物流会社。

 

そのため鉄道との縁も深く、「岡南福田駅」はこの倉庫に隣接して建っていたそうです。

 

↑岡南福田駅付近。

 

先ほどの倉庫がある交差点の北西角に、このような橋があります。

 

写真では少し分かり辛いですが、この橋、上の部分は比較的新しいのに下の橋桁等の部分は古いです。

 

というのもこの橋は元々列車が通っていたもので、その上に新しい橋を載せてあるようです。

 

↑岡南泉田駅~岡南新保駅間。

 

南区泉田にある、国道30号線と市道(廃線跡)の交差部。

 

この付近に「岡南泉田駅」があって、その場所を伝える小さなモニュメントがあるらしいのですが、見つけることができませんでした。

 

岡南泉田駅の近くには1974年に岡山芳泉高校が開校し、1日4往復にまで削減されていた列車本数は一時期12往復にまで大増発されましたが、1978年には再び削減されています。

 

 

岡南泉田駅付近から大元駅までは、「臨港グリーンアベニュー」として整備されています。

 

総延長2キロメートルに及ぶ遊歩道で、地域の方々の憩いの場となっているようです。

 

今日はこどもの日ということで、たくさんの鯉のぼりが泳いでいました。

 

↑岡南泉田駅~岡南新保駅間。

 

岡南新保駅跡に近づくと、実際に使われていた踏切が姿を見せました。

 

道の反対側にも警報器が立っていました。

 

↑岡南泉田駅~岡南新保駅間。

 

岡南新保(こうなんしんぼう)駅は、ホームなどが保存されており、自由に立ち入ることができるようになっています。

 

春になると、桜が綺麗に咲き誇るのだそうですよ。

 

↑岡南新保駅跡。

 

岡南新保駅を出ると、JR宇野線にだんだんと寄り添っていき、高架下を進みながらそのまま終点・大元駅へ進入することになります。

 

↑高架上を走るのはJR宇野線の普通列車。

 

岡山臨港倉庫運輸の本社から歩き始めて2時間10分で、大元駅に到着。

 

JR宇野線の高架駅です。

 

↑JR大元駅。岡山臨港鉄道が乗り入れていた当時はまた地上駅でした。地上駅時代の駅舎の写真が、駅前の名所案内の看板に載っていました。

 

ということで、およそ8キロメートルを踏破することができました。

 

住宅街の中をひたすら歩くことになるのだろうと想像していたのですが、散歩道として整備された区間が思っていたよりも多く、ゆっくりと進むことができました。

 

廃止されてから40年近く経過していますが、岡南新保駅をはじめ、鉄道が走っていた時代の痕跡が数多く残っているいることは、なかなか興味深かったです。

 

岡山県内には他にも、同和鉱業片上鉄道や下津井電鉄など、有名な廃線跡がいくつもあります。

 

今後はそれらの廃線跡にも訪れてみたいと思います。

 

今回は以上です。

 

最後までお読みくださいましてありがとうございました。