増床に伴いカテゴリーキラーを導入した大丸梅田店。右側手前が増床部分
新しい百貨店像を提示した大丸
2012年11月21日に建て替えオープンした阪急うめだ本店に続いて、今年(2013年)4月26日には複合商業施設「グランフロント大阪」がオープンを迎えた。それに先立つ2年前の2011年5月には「JR大阪三越伊勢丹」がオープンしている。その伊勢丹と目と鼻の先にあるJR大阪駅のターミナルビル内に店舗を構える大丸梅田店も、既存売り場を1.6倍の6万4,000平方メートルに拡大する増床工事を実施し、2011年4月に改装オープンしているが、前出の小売店に比べるとやや注目度が低い。しかし過当競争を見据えたMD構築には一見の価値がある。
専門店をいち早く導入
大丸は以前から、「新百貨店構想」を掲げ、より収益性の高い運営形態を模索してきた。札幌店がその嚆矢で、それ以降は既存店の大規模改装などの機をとらえて、“札幌店形式”が採用されていった。簡単に言えば、現場の社員数を減らして直接の運営を各テナントに任せるというファッションビル的な手法で、自主運営売り場が大幅に減少した。同時に新しい売り場編集も開発。その代表例がヤングレディスを対象にした「ufufugirls」(うふふガールズ)だろう。また、「ユニクロ」や「東急ハンズ」「ICI石井スポーツ」など、カテゴリーキラーを積極的に導入する施策も、百貨店の中では早かった
大阪の大丸店舗でも、こうした新百貨店体制への移行は進んでいる。2009年11月に、旧「そごう心斎橋本店」を居抜き改装してオープンした大丸大阪心斎橋店の「北館」はその典型例だろう。前出の11年4月に改装オープンした梅田店のひな形になった店舗だ。「北館」には「ufufugirls」のほか、上層階のスポーツフロアには「加賀ゴルフ」や「スポーツ館ミツハシ」などの専門店を積極的に導入。本館との相乗効果や新規顧客の開拓を狙い、従来の売り場編集からカジュアル路線とも言える新しい百貨店像へ大きく舵を切った。
競合他社にも影響及ぼす
大丸梅田店には1階と5階に「ufufugirls」が展開するほか、上層階にはシャワー効果も狙いカテゴリーキラーを集中して導入している。10―12階には「東急ハンズ」、13階には「ユニクロ」や「ポケモンセンターオオサカ」「トミカショップ」「ABCクッキングスタジオ」、8階にはゴルフ専門店の「つるや」など、集客が期待できる専門店を集積した。百貨店の利用頻度が少ないエンドユーザーなど幅広い年代層を対象にした点が功を奏したようだ。大阪三越伊勢丹が開業した時、その集客効果をうまく活用して増収につなげたのは大丸梅田店だった。けん引役になったのはこれらカテゴリーキラーで、当時の報道でも大いに注目されたことは記憶に新しい。
同業他社でも、大丸の成功事例を参考にするケースが増えている。来春グランドオープンする大阪・阿倍野の「あべのハルカス近鉄本店」には、専門店、カテゴリーキラーが多数出店する。売り場面積の40%を専門店で占めるというから、旧来の百貨店像と比較すれば隔世の感があると言っていい。売り上げが伸び悩んでいる大阪三越伊勢丹のテコ入れ策に、隣接するJR系のファッションビルで、好調な「ルクア」の要素を取り入れる構想もあるようだ。
実利主義というべきか、大丸の臨機応変な売り場編集は、過当競争の中で特定の地位を占めるための一手段を提示したと言える。