かなり前の作品ですが、恩田陸さんの「夜のピクニック」を再読しました。

好きな作品なのに、久しぶりに読んでみると内容のほとんどを憶えていませんでした。今読んでみると当時の感じ方と違うこともあり、改めて面白いと思いました。たまには再読することにします。

 

主人公は高校三年生の甲田貴子と同級生の西脇融です。彼らの高校では年に一度「歩行祭」という夜通し歩く行事がありますが、この小説はその始まりから終わりまでを描いていて、読んでいると一緒に歩いている感覚になりました。

 

歩き通せるだろうかということや、苦しくて足が上がらなくなってくること、早く家に帰って布団で眠りたいとか、経験はないけど想像できました。

 

貴子と融は彼らだけのつながりや秘密があるのですが、それについて二人の考え方は違っていました。

貴子は融の冷たい視線を感じるたびに傷ついていたけど、怒りもあって、何とかしたいと思っています。

融は関わりたくないという感じですが、歩行祭の間に気持ちの変化があるんですね。

 

最後の歩行祭だから一番の友達と一緒に歩きたいという気持ちもよくわかります。貴子には美和子、融には忍という大切な友達がいて、最後は一緒に歩きたい、という強い気持ちが伝わってきました。

 

恩田陸さんは水戸一高出身で、同校の「歩く会」をモデルにしたようです。今でもやっているなら、邪魔にならないように見たい気もします。