長い文章の場合、相手に誤解されることなく、スムーズに読ませるために、必要になるのが句読点です。句読点は文章を区切るもの、ということは小学生でも知っていますが、打ち方については明確なルールはありません。しかし、その打ち方で、文章の読みやすさは大きく変わってきます。具体例で見てみましょう。

 

読点の数、一行加えた効果を比較する


A.読点が1つ
バブル絶頂期の1989年12月29日、日経平均株価は終値で3万8915円を記録し誰もが1990年以降の拡大を疑いませんでした。

 

B.読点が2つ
バブル絶頂期の1989年12月29日、日経平均株価は終値で3万8915円を記録し、誰もが1990年以降の拡大を疑いませんでした。

 

C.読点が3つ以上
バブル絶頂期の1989年12月29日、日経平均株価は、終値で3万8915円を記録し、誰もが、1990年以降の拡大を、疑いませんでした。

 

どれが読みやすかったでしょうか?Aは一気に読ませたい場合に効果的です。Bは文意も明瞭で、心地よいリズムになっていますね。Cは読点が多すぎて、リズムも悪く、バラついて見えます。

 

また読者の興味を惹き続けるためには、ストーリーにするのも一つの方法です。たとえば、車を買ったという一文でも、

 

「今月、フェラーリ・ディーノ246GTを買いました」

 

この一文だけではフェラーリ好きを除けば、誰も関心を持ちません。一般の人にとっては、単なる事実報告でしょう。では、次のようにするとどうでしょうか。

 

「今月、フェラーリ・ディーノ246GTを買いました。スーパーカーが流行った子どもの頃からの夢でようやく念願がかないました」

 

たった1行付け加えただけなのに、大きく印象が変わりませんか?インタビュー記事などでこのような文章を入れると、「この車を買うために苦労したんだろうなぁ」「きっとカッコイイ車なんだろうなあ」といった感想が浮かんでくるはずです。さらに興味を持った人は「どんな車なんですか?」と質問してくるかもしれません。

 

相手に伝えるためにまず考えるべきこと
「フェイスブックなどのSNSは自分メディアだから何を書いてもいいんじゃないか」という人がいます。確かにSNSは自分の好きな情報を気軽に発信できるメディアです。日記のようなものだから自由に書いて構いません。しかし、中には、自分の考えや主張を世の中に広く発信したいという人もいます。その場合は書き方を考える必要があります。

 

ある特定の人だけに伝わればいいというならば、自己主張や専門性を盛りこみ、読みにくい文章であってもいいかもしれませんが、より多くの人に読んでもらいたい、自分の考えを伝えたいと思うならばそうはいきません。そのジャンルに興味がない読者にも興味を持ってもらえるよう工夫し、わかりやすく伝えることが肝心です。

 


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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員