名前が尾藤(びとう)だけあって、ヴィトンは好きです。はい、ダジャレです。
ヴィトンはなぜブランド力があるのか考えてみました。
■価格はどのように変えていくのか
ルイヴィトンは、日本での販売価格は本国 フランスと比較して40%程度割高になります。運送費などのコストを転嫁させているためです。輸出企業では郵送コストや関税の問題で国によって価格を変えています。
また、ルイヴィトンには、ライセンス品が存在しません。百貨店やスーパーマーケットに行けば、贈答品や季節の贈り物(お中元、お歳暮)が発売されています。なかには高級ブランド品もありますが、これは、ブランドの正規商品ではありません。各ブランドとライセンス契約を結び名前を借りて販売しているのです。これをライセンス契約といいます。
ライセンス契約には簡単に収益化しやすいというメリットがあります。認知度の高いブランド品ですから手間を掛けずに売ることができるのです。
しかし、ライセンス契約はブランド価値を失墜させるリスクもあります。たとえば、高級ブランドのハンカチやタオルがスーパーマーケットで販売されていたとします。このような販売方法はブランド価値を下げてしまいます。ブランド価値が下がるとブランド名を借りた偽物が出やすくなります。アメ横で偽物が多いのはそのためです。
ルイヴィトンではこのようなライセンス契約を一度も結んだことがありません。また、バーゲンや、セット販売、値引きも一切行いません。
これは、ヴィトンユーザにとっては大きな安心材料になります。考えてもみてください。20万円で購入したバッグが翌月半額でバーゲンで売られていたらどう思いますか。とても損をした気持ちになると思います。私ならそのブランドで二度と購入しないと思います。ルイヴィトンはこのような販売形態を150年以上継続しているのです。
■コロナ禍で価格をアップさせたルイヴィトン
現在、世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大したことにより、多くのブランドが売上を激減させました。しかし、ルイヴィトンはアイテムの値上げという価格改定に踏み切りました。しかも、2020年だけで3回も価格改定が行われています。 人気商品のジッピーコインパース(M60067)を例にどれぐらい値上げされたのか見てみましょう。
図3)ジッピーコインパース(M60067)
画像はルイヴィトン公式サイトから引用。
https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/products/zippy-coin-purse-monogram-000901
2020年1月に41,000円→44,000円に値上げされました。3月に44,000円→48,000円となり、5月に、48,000円→50,000円になりました。現在は55,000円(総額)と表示されています。
元々は、41,000円(総額45,100円)で購入できたものが、いまは50,000円(総額55,000円)を支払わないと購入できなくなりました。1万円の値上げは大きなインパクトですが同社の販売実績は堅調に推移しています。
ルイヴィトンの価格戦略は外国為替を意識しています。1ユーロ=130円のタイミングで1000ユーロ(13万円)のバックをフランスで購入したとします。翌月に1ユーロが100円に下落したら、1000ユーロのバッグが日本では10万円で購入できることになります。
差益を無くし、世界価格均一化を目的に価格調整を行っているのです。また、ブランドの大衆化リスクを避けるために、定期的な値上げをおこなっています。
私が学生の頃に使用していたのは、ソミュールというバッグです。43シリーズ(Lサイズ)でかなり重宝しました。当時は、モノグラムとエピくらいしかありませんでしたが、ずいぶんとラインナップが増えたものだと関心しました。機会があったらまた買ってみようかな。
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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員