誤った使い方が多いのは慣用句だけではありません。日本語には微妙な表現が多く、使い方がとても難しいのです。
 

たとえば、「おざなり」と「なおざり」。きちんと使えていますか?

混同して使っていませんか?
 

「おざなり」とは、いい加減な言動でその場を取り繕う様を言い、「なおざり」とは、いい加減に扱うことは同じなのですが、そのままの状態で放っておくことを言います。


また読み違いもよく耳にします。多いのが、「あり得る」。

これを「ありえる」と読んでいませんか? 正しくは「ありうる」です。

 

以下に、使い間違いが多い言葉をあげてみました。


<間違えやすい表現>


役不足
能力が足らないという意味で使用する人が多いが、正しくは、役目が軽すぎることを表します。
 

煮詰まる
「成果がでず、煮詰まった状態」などと追い詰められた状況で使われがちですが、本来は、議論や考えが出尽くして結論の出る状態になること。結論が出る寸前に用いるのが正解です。
 

失笑
あきれるような場面に、「失笑を買う」と使うのは間違い。本来は、思わず笑い出してしまったという意味です。


破天荒
無茶苦茶なことや常識外を表す際に使われがちですが、本来は「今までできなかったことを成し遂げること」を表します。本来はほめ言葉です。


潮時
限界が迫っているときに使いがちですが、本来は一番いい時期を指す言葉です。


(○○の)さわり
最初の部分、冒頭だけと思われがちですが、本来は盛り上がりポイント、話の要点や最も印象に残るところを指します。わかりやすく言うなら「サビ」です。

 

姑息
卑怯だという意味で使うのは間違いです。その場しのぎの対応をすることを意味します。
 

確信犯
悪いと知りつつやる場合に用いるのは間違い。自分の行いは正しく、社会や周囲が間違っていると信じている行動を表します。
 

いかがですか? みなさんは正しく使えているでしょうか?

 


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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員