ターゲットをしぼるその理由は、「読み手を意識することで、どのような文章を書くべきかのポイントをしぼりこめるから」、ということは前述しました。

 

では、次に音楽関係の会社に入社希望の2人の文章を例にあげます。

皆さんには、どちらの志望理由が心に響くでしょうか?

 

Aさん
私は音楽が好きです。小学生のときからピアノを習っていて、今では腕前はセミプロといっても過言ではありません。音楽以外では水泳が好きで地区大会で入賞したこともあります。あと母が裁縫が得意なので、幼い頃から刺繍や編み物も勉強していました。このような経歴があるため、私は御社への入社を希望したいと思います。

Bさん

私は音楽が好きです。小学校のときからピアノを習っていて、今では腕前はセミプロといっても過言ではありません。中学・高校と吹奏楽部に所属して、全国大会に出場した経験もあります。高校卒業後は、音大に進学し、学業に専念すると同時に、近所の子供たちにピアノの弾き方を教えていました。このような経歴を活かすため、私は御社への入社を希望したいと思います。

 

Aさんは、音楽も運動も裁縫も得意なことはわかりますが、なぜ音楽業界なのか、あまりよくわかりません。Bさんは、幼少時からピアノを勉強し続けて、音大にも入学。専門知識を音楽関連の会社に就職して活かしたいと思っていることが想像できます。
 

音楽関連の会社の採用担当者はもちろん、他業界の採用担当者でも、一つのことを続ける信念や集中力の深さが感じられ、Bさんを採用したくなるのではないでしょうか。


このように読み手をイメージし、読んでもらいたい相手をきちんとしぼること。また、伝えたい、アピールしたい事柄もしぼりこむことで、本来読んでもらいたいと思っていた人以外にも読んでもらえるチャンスが大きくなります。

 


6月8日、17冊目バズる文章」のつくり方(WAVE出版)を上梓しました。

よろしければ、ぜひお手にとってみてください!

 

尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員