文章を書くとき、大事なことは何だと思いますか?
 

最近いただくメールや商品案内や資料、会合のお誘いなどの文章を見ていると、「うまく書きたい」「デキるように見せたい」と意識してなのかどこか表面的で、本来の目的を成し得ていないような文章をよく見かけます。また、

 

お手本をそのまま写していると思われるケースも……。
 

文章において「デキるように見せる」のは、本来の目的ではもちろんありません。文章には、「知ってもらう」「理解を深める」「説得する」「記録として残す」などさまざまな目的があります。そしてもっとも大事なのは、「自分が伝えたいことを相手にきちんと伝えること」なのです。

 

そのなかでも、私が特に仕事で大事にしているのは、文章を読む相手の「行動を促すこと」です。この行動を促すとはどういうことでしょうか?
 

たとえば、商品カタログを思い浮かべてください。ぱっと開いた瞬間にその商品をイメージしやすい紹介文が目に飛びこんできます。
 

女性であれば、雑誌や洋服ブランドのパンフレットをイメージしてください。まだ寒い季節なのに春物のキレイな色や花柄の洋服の写真に、気の利いたコピーが添えられていたりすると、まだまだ着るのは先なのにほしい! と思ったりしませんか?


また、車のカタログもわかりやすい例だと思います。カタログには、性能や品質をうたう前に、「この車でどこに行こうか?」「車があれば、どんなに人生が楽しくなるか?」をイメージさせるコピーが美しい写真とともによく書かれていますね。


相手の購買欲をそそる言い回しによって、その車を手に入れたときの幸せな光景などプラスのイメージを与え、購買欲を刺激して動機づけするわけです。

 

「この車ならモテるかな」

「総務部の聖子ちゃんと誘ってドライブに行こう」

「わぁ!すごい、いい車を買ったね!」

 

なんて言われるかもなどと、妄想させたら勝負ありです。


営業の方であれば、この商品がどれだけ便利なものか、その商品を使うことでどれだけの時間や手間が削減できるか。その空いた時間で自分の好きなことができて毎日が楽しくなる! ということをアピールするのも一案でしょう。


そんなふうに購買意欲をそそることができたら、コピーライターの勝利! つまり、ターゲットの行動を促すためのスイッチが入れられたことになります。


カタログはもちろんのこと、公にする文章には必ず「読み手」が存在します。読んでもらいたい相手がいるからには、相手に何をどう伝えるか、そして相手がどうとらえるかが問題になります。それが公にする文章の役割と効果です。

 


6月8日、17冊目バズる文章」のつくり方(WAVE出版)を上梓しました。

よろしければ、ぜひお手にとってみてください!

 

尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員