●よくばりすぎると読者が混乱する
「ワンセンテンス・ワンメッセージ」または「一文一義」という言葉があります。1つの文章にあれもこれも同時に言おうと詰め込んだら、意味がわかりにくくなります。

 

そんなときやるべきことは、まずは文章を短くすること。そして、改めて意味が理解しやすくなるように組み直すこと。よくばりすぎは、読者の混乱を招きます。


〈例1〉 
世界有数のコンサルティング会社、マッキンゼー社では、問題提示、解決の手法などあらゆる事柄が3つ揃いで提示される「3」は、マジックナンバーといわれていて、「理由は3つあります」「大切なことは3つです」「お伝えしたいことは3点です」などは、セミナーやプレゼン、スピーチでもよく使われる言い方です。

〈修正後〉 ◯
世界有数のコンサルティング会社、マッキンゼー社では、問題提示、解決の手法などあらゆる事柄が3つ揃いで提示されるのは有名な話。「3」は、受け入れられやすい数字なのです。

 

「理由は3つあります」「大切なことは3つです」「お伝えしたいことは3点です」などはセミナーやプレゼン、スピーチでもよく使われる言い方です。

 

〈例2〉 
「アウトプットを始めよう!」「文章を書いてみよう!」と意気込むと、なかなか進まないことがあります。このようなとき、『アウトプット大全』『インプット大全』など、数々のベストセラーを書いていることでも知られている精神科医の樺沢紫苑さんは、アウトプット・トレーニング方法として「日記を書く」ことを推奨しています。

〈修正後〉 ◯
「アウトプットを始めよう!」「文章を書いてみよう!」と意気込むと、なかなか進まないことがあります。このようなとき、精神科医の樺沢さんは、アウトプット・トレーニング方法として「日記を書く」ことを推奨しています。


〈例1〉の「世界有数のコンサルティング会社、マッキンゼー社では、問題提示、解決の手法などあらゆる事柄が3つ揃いで提示される「3」は〜」は見てわかるように、そもそもの主語が長すぎます。「世界有数のコンサルティング会社、マッキンゼー社では、問題提示、解決の手法などあらゆる事柄が3つ揃いで提示される」で、1回言葉を切ること。


〈例2〉「『アウトプット大全』『インプット大全』など、数々のベストセラーを書いていることでも知られている精神科医の樺沢紫苑さんは、アウトプット・トレーニング方法として「日記を書く」ことを推奨しています。」についても同じことがいえます。

 

●書き終えたらいったん寝かせるのがコツ
活動の幅が広く有名な人を紹介する際には、つい情報を多く入れてしまいがちです。しかし、情報をいれたからといって、読みづらかったらまったく意味がありません。このような場合は、著書の話はいったん脇に置くこと。

 

必要があれば、文末にプロフィールを作るなどして、対応すればいいのです。普段は気をつけていても、1日何時間もパソコンに向かって書いていると見落とします。書いた文章はいったん寝かせて、翌日改めて読み直しましょう。
 

また、夜中に書いた文章は、テンションが上がりすぎて、「自分の思い」や「意気込み」を語りがち。そのまま原稿に書いて送ってしまうと、恥ずかしい思いをします。書いたら、一晩寝かせて翌朝にチェックします。これを続けることで、自分の文章を客観的な目で見られるようになってきます。

 


※17冊目となる、バズる文章」のつくり方(WAVE出版)を上梓しました。

尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員