●臨場感や躍動感を演出するテクニック
たった一文を読んだだけで、まるでその場にいるかのような臨場感を味わえる文章があります。たった一文読んだだけで、目の前に情景が広がり、どこか懐かしさを感じさせる—そんな臨場感あふれる文章を書くために必要なこと。

 

それは擬声語や擬態語、擬音語などを入れることです。これによって臨場感や躍動感を演出することができるのです。

✕ 桜が散る春
◯ 桜がひらひらと舞い散る春の夜

✕ この車は最高時速○○キロで走ることができます
◯  最高時速○○キロで(グングン)と走るため、爽快感を味わえます。まるで、仕事の疲れをふきとばしてくれるかのようです。

〈解説〉
「桜が散る」と書くだけでもいいのですが、「舞い散る」「春の夜」と言葉を付け加えることで「まさに今桜が目の前で散っている」「昼ではなく、桜が舞い散る夜、彼女は何を思うのでしょうか? 読者の想像の中で、過去の自分や好きだった女性のことを重ねて思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。


擬態語、擬声語は臨場感を描くのに有効な反面、何度も繰り返し用いると子どもが書いたかのような、締まりのない、幼い文章になることもあります。

 

ですから、多用は避けつつも、感じたままを書き記し、読者の心をぎゅっとつかんで離さない—そんな使い方が理想です。


シズル感を出すと文章がイキイキしてきます。いくつかの方法があるので試してみましょう。多用しぎると、かえって文章が稚拙に見える場合があるので要注意です。「せっかく文章を書いたのに、なんだか思ったことがうまく伝わらないようだ」と感じたときには、「文章にシズル感はあるか」という視点で、自分が書いた文章をチェックしてみましょう。

 


※17冊目となる、バズる文章」のつくり方(WAVE出版)を上梓しました。

尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員