では、付加価値を文章に置き換えてみましょう。
文章にとっての「付加価値」は「おっ、そうなのか!」と、知の発見につながることです。

ズバリ、読者にとってメリットを感じる文章です。


読者のメリットとは、「こういう意味があったのか」、「こんな狙いがあったのか」という、新発見が得られるものや、面白みがあることです。


読者が抱いたイメージを、文章で「肯定的に裏切る」ことで興味を引くことができるはずです。
 

たとえば、「業界をリードするA社長のマル秘過去」という一文が、見出しや導入の文章に入っていたらどうでしょうか。

 

さらに、次のようなキャプションが加えられていたとしたらどうでしょうか。


「今では1000人の社員を率いていますが、高校時代はやんちゃでした。地元の警察に補導されたのも数しれず。中退して、大検で東大に入るなんて思いませんでした。在学中に司法試験に合格しました。この勉強法はマル秘テクニックです」(A社長談)


こんな本人のコメントが添えられていれば記事は自然と盛り上がるはずです。


「世の中にそんな人がいるのか!」と、驚きをもって読んでもらえたら成功です。

多くの読者が人物のことを「もっと知りたい!」と思い、文章を読んでもらえるはずです。


読者は、何か1つでも新しい発見があれば、次の文章へと読み進んでくれます。

「肯定的に読者を裏切る」ことで、読者に満足感を与えてくれます。


そのためには、読者が何を喜ぶのか、どんなことが当たり前で、どんなことなら発見になるのか、ターゲットについて深く知ることが大事です。


文章は読者のためにあるものです。読んでくれる人に、何を与えられるのか、そんなサービス精神を持って書くことが「付加価値」や「独自性」につながるはずです。

 


17冊目、「バズる文章」のつくり方(WAVE出版)を上梓しました。

尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員