これまでの情報発信の手法は「アウトバウンド」が一般的でした。
たとえば、企業が発信して消費者に売り込むパターンがアウトバウンドに当てはまります。
その際は、発信する情報の効率性が求められました。広告であればデザイン力や新奇性、大量投下によって注目を集める手法がそれに当たります。
しかし、最近では「インバウンド」にシフトしています。
インバウンドとは、「消費者に関心のある情報を提供してサービスを利用してもらうこと」です。
たとえば、ある企業がSNSから情報を発信したとします。
消費者にとって情報が有益であれば、そのあとも継続的にサービスを利用してくれるでしょう。そしてサービスの利用はほかのユーザーへと拡散すると思います。
これをサービスではなく文章に置き換えてみると、同じことがいえるのです。
「SNSは自分専用のメディアだから何を発信してもかまわわない」と思ってはいませんか。
確かに、SNSは自分が好きな情報を自由に発信できるメディアですから、日記や身辺雑記のような内容の投稿でも問題はありません。
しかし、中には、自分の考えや主張を世の中に広く発信したいという人もいると思います。
「特定の人にだけに伝わればいい」というのであれば、自己主張や専門性を盛りこみ、対象ではない読者にとっては読みにくい文章でもかまいません。
しかし、「より多くの人に読んでもらい、自分の考え方を広く伝えたい」というのであれば、考え方を変えなくてはいけません。
まず、読者に興味を持ってもらえるように、わかりやすく伝えることが必要です。私がニュースサイト向けの記事を書くときは、いつも多くの人に読まれることを意識しています。
17冊目、「バズる文章」のつくり方(WAVE出版)を上梓しました。
尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員