間違いが多い慣用句の続きです。

 

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「破天荒」の間違った使い方
A氏:取引先の松田専務が転勤されるそうだ。
B氏:「破天荒」な方でしたね。


「破天荒」は「豪快で大胆な様子」「慣習などに縛られない」といった意味で使われがちです。本来は「今までできなかったことを成し遂げること」や「前人未到の境地切り開くこと」を意味します。つまり、ホメ言葉です。


「煮詰まる」の間違った使い方
A氏:なかなかアイデアが浮かばない。
B氏:さすがに「煮詰まって」きますね。
 

「煮詰まる」は、成果やいいアイデアが出ない手詰まりな状況で使われがちです。本来は、議論や考えが出尽くして結論が出る状態のことです。結論が出る寸前に使うのが正解です。


「吝やぶさか」の間違った使い方
A氏:社長から出張依頼。今回は土日を返上だ!
B氏:社長命令なら「吝かでない」のでは?


「吝かでない」は「やむを得ない」の意味に使われがちです。正解は「喜んでする」こと。この文脈では、「土日返上でうれしい」という意味になってしまいます。


「お眼鏡にかなう」の間違った使い方
A氏:君の企画はとても良かった。
B氏:「お眼鏡」にかなって光栄です。


「お眼鏡にかなう」とは、「目上の人に評価される」という意味です。もともとは、「お眼鏡=拡大鏡」で是非を判断したことから派生した言葉です。なお、「お目にかなう」は誤用です。

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最近、語彙力をテーマにした書籍を見かけることが増えました。社会全体に「大人にふさわしい語彙力をつけたい」というニーズがあるように思います。


たとえば、お客さまに迷惑をかけてしまい、先方が憤慨しているならば、普段よりは丁寧な言葉を使って謝罪する必要があるでしょう。このときに大切なのが語彙力です。状況を俯瞰しながら言葉を使い分けるスキルが必要になります。


今ではスマホで文章を書くことが多くなったせいか、意味不明の文章や非礼な文章が以前よりも増えたように思います。言葉は、コミュニケーションの手段としてなくてはならないものです。あなたの評価を高めるためにも、正しい使い方を覚えておきましょう。

 


いつもお読みいただき有難うございます!

尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、明治大学客員研究員

16冊目の著書。「頭がいい人の読書術」(すばる舎)を上梓しました。