この記事では対句について解説します。

 

国破れて山河在り
(都の長安は破壊されたが、山や河はもとのままである)


城春にして草木深し

(城壁の中にも春は訪れ、草木が生い茂っている)


時に感じては花にも涙を濺ぎ
(時勢に胸は騒ぎ、花を見ても涙が流れる)


別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
(家族との別れは恨めしく、鳥の声にも心が揺れ動く)


烽火三月に連なり
(戦いは3カ月も続いた)


家書万金に抵る
(家族からの手紙は黄金に等しい)


白頭掻けば更に短く

(白髪頭をかくと、髪が抜けて少なくなる)


渾べて簪に勝へざらんと欲す
(かんざしもさせなくなる)


ここに引いたのは中学校や高校で習う、漢詩「春望」(杜甫)ですが、すべてが対句で成立しているのがわかりますか。


このほか、ことわざにも対句が多いので、参考までに挙げてみましょう。


・月は東に、日は西に
・帯に短し、たすきに長し
・聞いて極楽、見て地獄
・注意一秒、怪我一生

 

それぞれの言葉が絶妙に「対」になっていることがおわかりいただけると思います。


また、ドラマや映画などの台詞にも、対句が使われていることがあります。


「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ」
(映画『踊る大走査線』の青島刑事の台詞)


対句にすることでリズムが整えられています。文章は、リズムを整えることで読みやすくなります。私は普段から記事のタイトルには気をつけていますが、話題になる記事はタイトルにリズムがあるものが多いことを実感しています。

 


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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、明治大学客員研究員

16冊目の著書。「頭がいい人の読書術」(すばる舎)を上梓しました。