画像はWikipediaより引用。
東京五輪開催の是非に向けて小池百合子都知事の動向に注目が集まっています。
2020年7月5日に行われた都知事選挙では、2012年東京都知事選挙での猪瀬直樹(433万票)に次ぐ、史上2番目の得票数となる366万1371票で東京都知事に再選を果たします。
では、人びとは小池氏のどこに酔いしれたのでしょうか?
私は、その1つが「倒置法」ではないかと考えています。
倒置法とは、語や文節を、普通の順序とは逆にする表現法のことです。
論調に濃淡をつける効果があります。
単純なものとしては「早く行こうよ」を倒置法を使って言うと、「行こうよ、早く」になります。
あるいは、「今日はいい天気だね」は「いい天気だね、今日は」になります。
・膨れあがるオリンピック予算。1兆、2兆、3兆って、豆腐じゃないんですから!
・見てください、この資料。ほとんど真っ黒に塗られて、のり弁じゃないんです!
小池氏ほど倒置法を効果的に使った政治家はいません。
相手を追及するかのような強い論調から異質なものに話を変化させます。
集まった聴衆はこのタイミングで笑みをうかべます。
倒置法を使うことで緊張感を和らげているのです。
倒置法は、政治家が聴衆に語りかける際のテクニックとしても知られています。
元外務大臣の田中真紀子氏を覚えているでしょうか。
彼女の話し方は倒置法とは異なりますが、話を和らげる演説に特徴があります。
・野中広務氏のことを「『もなか』だか『おなか』だか」
・自民・自由・公明の連立内閣を指して「ジジ公(自自公)だかババ公だか」
・当時の小池百合子環境相をさして「大風呂敷おばさん」
今でも覚えている人も多いのではないでしょうか。
ただし一般のビジネスシーンでは不適です。
過剰にやると効果を失ってしまいますので注意が必要です。
いつもお読みいただき有難うございます!
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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、明治大学客員研究員
16冊目の著書。「頭がいい人の読書術」(すばる舎)を上梓しました。