緊急事態宣言が3回目の発令となり、多くの人がストレスを感じているのではないでしょうか。外的要因によって心身に負荷がかかった状態をストレスといいます。さらに強い負荷を感じるとストレスフルになります。ストレスフルな状態に陥っているとネガティブ思考に陥り、不平不満や悪口が増えてきます。

 

しかし、「不満があっても言うべきではない」「悪口は結果的に自分を傷つけてしまう」と主張する精神科医がいます。今回は、精神科医でベストセラー作家の樺沢紫苑さんに「悪口」がもたらす弊害について伺いました。近著に「精神科医が教える病気を治す 感情コントロール術」(あさ出版)があります。

 

悪いのは一体、誰のせいなのか

悪口でひと通り他人を責めると、激しい怒りのエネルギーはガス抜きされます。そうすると、多少、状況を俯瞰(ふかん)して見られるようになってきます。樺沢さんは悪口の弊害について次のように説明します。

 

「冷静になることで、過去の責任は最終的に自分にあることに気付きます。今の状態は『過去の自分の行動』によってできたもの。回避、あるいは軽減できたはずなのにしなかった。そう思うと自分を責めずにはいられなくなります。『こんな会社で無理して働き続けて病気になってしまった。なんて、俺はバカなんだろう!』『3カ月前から調子が悪かったのに、どうして病院に行かなかったのだろう。さっさと行けばよかった!』。今度は自分の悪いところばかりを探し始めるのです」

 

「『どうして、こんなことになったんだろう?』『すべては自分のせいじゃないか!』。自分の欠点や短所、過去の行動の誤りや判断ミスを思い起こしては自分を責め、後悔し、ふがいない自分をさらに責め続けるようになります。怒りはストレスそのもの。激しく、自分へ怒りを向けることは結果的に自分を痛めつけるのと同じです」

 

怒りはアドレナリンが大量に分泌されている状態です。危険な状態だと樺沢さんは言います。

 

「アドレナリンが大量に分泌されている状態は、戦っているのと同じです。アドレナリンが長期に分泌されると心臓や血管に大きな負担をかけるため、高血圧、動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳卒中などの心血管系疾患になるリスクを大幅に高めます。さらに、激しく怒った後は心筋梗塞や心臓発作を起こす危険性が4.7倍に上昇するとも言われています」

 

「怒って自律神経が乱れるとそう簡単には元に戻りません。ある研究データによると、一度乱れた自律神経が正常化するには3時間程度を要するという発表もあります。『怒り』の状態が長引き、アドレナリンが分泌される状態が長期で続くとコルチゾールが分泌され、病気が悪化するか、それが原因で病気になることもあります。病気を治すには『怒り』の状態を早く乗り越えなくてはならないのです」

 

つづきは、Yahooニュース(2021年5月1日)で読むことができます。リンク切れの場合は元記事オトナンサー(配信元)をお読みください。

 


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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、明治大学客員研究員

16冊目の著書。「頭がいい人の読書術」(すばる舎)を上梓しました。