私の知り合いの政治家は仕事上でブランド品をほとんど持ち歩きません。

 

ブランド品を持つことによってやっかみを防いでいることもありますが、そもそも高級品に全くこだわりがない人も沢山います。

 

最近、仕事の成功者は長財布を使うなどの財布診断も流行っているようですが、政財界では驚くほど長財布を使っている方に出会ったことがありません。スーツの胸ポケットには長財布がスマートかもしれません。

 

ところが形が崩れることを嫌う人は胸ポケットに財布をしまいませんし、長財布も使うことはありません。マネークリップを使う人も知りません。


国会議員という時点で、エグゼクティブになりますから、いちいちブランド品を身に着けるようなことはしないのです。それは自信の裏返しです。

 

私がお世話になったある先生は「ブランド品は、値段がいくらか知っているから持たない」と言っていました。その先生はカバンも財布も持ち歩きません。代わりに、普段から紙袋を使っています。運転手付きの車でドア・トゥ・ドアだから天候を気にすることもありません。


高級ブランド品は一流ですが、それを買う人は一流とは限りません。本当のエグゼクティブやステータスのある人は、安いものでもファッショナブルに着こなすことができるでしょう。


唯一、政治家がブランドにこだわるのはスーツだと思います。スーツは制服みたいなものですが、どれも同じように見えて実は歴然たる差があります。

 

政治家に人気があるのは、銀座英國屋か壹番館洋服店銀座本店です。高級紳士服として周知されている老舗で、オーダーで一着30万円以上、高いと100万円くらいのものもあります。


高級品を着用しているにも関わらず「着こなしが下手」なのが政治家の特徴です。いま、20代の若者を中心に「モテスーツ」という細身のスーツが流行っています。若手の政治家で好んで着用している人がいます。一方で、大きめのスーツを好む人もいます。小さくて小柄な体型を大きく見せようとしているのです。


トランプ前大統領はブカブカの大きめのスーツにボタンを留めず、長いネクタイが印象的です。ブリオーニ(Brioni)のスーツですがお世辞にも高価なスーツに見えません。オバマ元大統領は就任するとイタリアのカナーリ(CANALI)を着用しました。ですが、着こなしは既製品ぽいように見えてイマイチの評価でした。

 

一方でお手本とされていたのが、エリザベス女王の夫である故フィリップ殿下です。その着こなしは英国紳士の手本とさえ言われていました。

 


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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、明治大学客員研究員

16冊目の著書。「頭がいい人の読書術」(すばる舎)を上梓しました。