義理を売って恩を買うという言葉があります。

 

誰かをお世話して喜んでもらい、いずれその恩を返してもらうという意味です。ビジネスの場合、相手から信用を勝ち取るには時間が掛かります。そのため、相手が欲しがるメリットを与えなくてはいけません。

 

すぐに結果を出すことを求められている場合はどうすればいいのでしょうか?


ゼロベースで人間関係を作るよりも、最初から相手が価値を感じてくれていた方が時間を短縮することができます。相手にメリットを感じさせて、自分を「買ってくれる」関係があったほうが建設的な関係を築きやすいものです。


そのためには、普段から自分が何をしたいのかを明確にしておかなければいけません。人に会うときは、まず「その人に対して自分はどんな貢献ができるか」を考えてください。

人のつながりを大切にすることが好ましい関係構築を生みます。


また自分の置かれているステージによって知り合う人は異なってきます。

平社員のときに、名立たる名経営者と親しくなろうと思っても、相手にメリットがなければたとえ会えたとしても関係構築はできません。

 

相手にメリットを与えるのではなく「自分だけがメリットを得たい」という意識では上手くいきません。相手も時間を割いてその場に来ているのです。

 

お店で店員さんに強引にすすめられて、欲しくもないものを買わされそうになった経験はありませんか? 聞いてもいないのに、「これを買ったほうがいいですよ」なんて言われたら店員に不信感さえ持ってしまうかもしれません。

 

自分にとって格上の相手に会ったときは、関係構築を急がず、時間を掛けたほうがいいのです。関係構築を目的とするなら、「少しくらい還元してくれてもいいだろう」などと思わないことも大切です。「善意の搾取」にならずに、まずはフラットな関係になることが理想的です。


例えば、奢ってもらったら、同額を奢って返します。情報を教えてもらったら、参考になるような等価の情報を返します。その積み重ねで信頼関係は構築できます。


勉強会やセミナーに参加すると、参加者の「売り込み臭」が漂っていることがあります。「バンバン名刺を交換して自分の客を増やすぜ」と鼻息が荒い人が多くなり、こうなると健全で建設的な場ではなくなってしまいます。

 

また、紹介を何度もお願いする人がいます。そのような人は、相手のことを考えない人だと思われてしまうでしょう。人を紹介するのは、人脈の一部を渡すわけですからとても重大なことです。場合によっては紹介者自身の信用に関わってくることです。

 

重要なのは、「紹介して下さい」と人に頼むのではなく、紹介してあげたいと思わせる人物に、自分自身がなることです。「この人に会いたい」「この人と仕事をしたい」「この人のためになにかしたい」と思われるようになるのです。


例えば、会う相手のことを調べ尽くしたことはありますか? ホームページは当然のこと、ブログを書いていれば目を通します。著書や講演会やセミナーをしていれば受講するなどをして相手のことを徹底的に調べます。

 

「この人はこんな情報を探している」とか「こんなことに興味があるのではないか」というヒントをつかんでおけば、お願いをするときでも、会話の主導権を握ることができ、スムーズに望む結果に導くことができるかもしれません。

 


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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、明治大学客員研究員

16冊目の著書。「頭がいい人の読書術」(すばる舎)を上梓しました。