政治の世界でトラップは当たり前です。公認を取り付けたり、選挙区の区分けで有利にコトを進めるためには、相手を陥れるためのトラップが必要になる場合があります。
政党を企業と考えるなら、所属議員は社員みたいなものです。企業でトラップを仕掛けられるのは管理職以上のはずです。上のポストが少なくなるにつれて競争が激化するからです。
政治家も同じです。当選一回生や地盤が確立されていない新人にトラップを仕掛けることはないと思います。当選回数を重ねて委員長ポストや大臣ポストが届くキャリアになり、新聞等で名前が挙がるようになるとそれを妬む人が増えてきます。
図式は、サラリーマンと似ているかもしれません。
もし皆さんが管理職なら充分に注意しなくてはいけません。例えば社内で、社長肝いりの新しいプロジェクトが立ち上ったとします。あなたはそのプロジェクトメンバーにアサイン（任命）されました。あなたの上司（課長）からは次のように指示をされました。
「やり方は君に任せたから。期待しているよ」
一見、トラップには見えないかもしれません。ですが、上司から、このように指示されたらトラップの可能性が高いのです。
「やり方は君に任せたから。期待しているよ」
私の経験上、「やり方は君に任せたから」は最初から責任転嫁していることと同じです。結果的に期待通りの成果が挙がらなかったとしましょう。あなたの上司である課長が、部長に説明するときにはどのような内容になると思いますか？
【課長】
彼にやり方を一任していました。詳細については分かりませんが、成果が上がっていないとしたらそれは申し訳なく思います。すべては私の監督責任です（本音：勘弁してくれよ）
【部長】
せっかく、君が自由にできるように指示したのにとんでもないヤツだな。社長にも報告しなくてはいけないからすぐに報告書を作成してくれたまえ（本音：誰に責任を取らせようかな）
会社員はまず自らの保身を考えます。あなたはどうすればよかったのでしょうか。上司に「任せる」と言われたら、上司が期待している「任せる」を具体化する必要がありました。
「部下のために身体を張る」
美しいですがドラマの中だけだと理解しましょう。
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尾藤克之（BITO Katsuyuki）
コラムニスト、明治大学客員研究員
16冊目の著書。「頭がいい人の読書術」（すばる舎）を上梓しました。