<馬車道の不思議少年・翔:第3話>2
彼女を見つけて彼の顔がパッと明るくなったが、
もう一人の女性が後ろに続いていることに気づき、
状況がよく呑み込めないけげんな顔に変った。
二人の女性は彼の前に座った。
「お久しぶり。」
「今日はどうも。洋子、その人は?」
「あれ、わからない。同じクラスにいた真理よ。」
女性は、メガネをはずし額の髪をかき上げた。
「本当だ。わからなかった。随分変わった。」
「あらそう。進はあまり変わっていない。」
「真理、私たちも何か頼もうか。」
彼が期待した二人だけの夢みごごちの世界は、
残念ながら3人の昔友達の懐かしの場になっていた。
洋子が話を切り出した。
「今日は進に2つの話があったの。
一つ目はこの馬車道に現れるという不思議な少年の話。」
洋子のたたみ込むような口調は、
彼が勝手に作り上げていた彼女のイメージとはかなり違っていた。
(記 原田修二)
■次回は2/23 <馬車道の不思議少年・翔:第3話>3