<馬車道の不思議少年・翔:第3話>1 | 馬車道物語

<馬車道の不思議少年・翔:第3話>1

馬車道で紅茶専門店として名の通るサモアールは、
横浜駅近くの本店とは異なって食事も出しており、
とりわけオムライスがこの店のリピーターを育てていた。

この店のすみのテーブル席に一人で座った男は、
「あとでもう一人来ます。」と伝えつつ、
待ちきれずに評判のオムライスを頼んだ。

彼が待ち合わせをしている女性は高校の同級生。
気分はわくわくとしているもののそれほど親しいわけではない。
3年ほど前、一度デートをしたことがあるがそこまでだった。
どちらかというと彼の一方的な片思いで終わった。

1週間前、たまたまフェースブックにアクセスしている時、
彼女の顔と名前を見つけ、あの頃の気持ちがよみがえった。
ダメ元で友達申請をすると何と速攻で承認された。
それだけでなく彼女から今日の待ち合わせの誘いが届いた。
25才で独身の彼にとっては心躍るメッセージだった。

思いをはせながら少しづつオムライスを食べている時、
待っていた彼女がほぼ予定通り店に入ってきた。

 (記 原田修二)

■次回は2/16 <馬車道の不思議少年・翔:第3話>2