<馬車道の不思議少年・翔>2
「隣にすわっていい?」少年は声をかけた。
「ああ、いいよ。」男は笑顔で答え、少年はすぐ腰かけた。
肩にかけたカバンから13インチほどのタブレットを取り出すと、
すぐゲームを始めたので会話はそれ以上進まなかった。
こんな子供がこんな大きなタブレットを使いこなしている。
男は少年の姿に何となく違和感を覚えながら、
再び自分の仕事の進め方に思いを巡らした。
ネット販売を始めるにあたっては、
引退した親父からもベテランの従業員からも反対はなく、
むしろ賛成する意見のほうが強かった。
但し、それぞれから意見が寄せられた。
親父からはしっかりしたホームページを作ること、
伝統あるおもちゃ屋に相応しい内容にしてほしい。
商品数も商品説明も決して手抜きをしない事。
ネット販売に少し知識のあるベテランの従業員からは、
サイトの作成は実績のある業者に作成を頼むこと。
わけのわからないことに費用がかかりがちなので、
依頼内容をあらかじめはっきりさせ、
業者のペースに乗らない事、だった。
いろいろ調べ、ネット販売のホームページの作成は、
馬車道近くのソフト会社にお願いすることにした。
ソフト会社の担当者がオモチャ屋の店舗に来て、
打ち合わせが始まったのは昨年9月のことだった。
昨年の出来事を振り返りながら、
ベンチの横の少年に目をやると、
依然としてタブレットでのゲームに夢中になっていた。
(記 原田修二)
■続きは11/24 <馬車道の不思議少年・翔>3