中国語で観る「ゴッドマーズ」 | 監督ブログ  wecker

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「時空警察ヴェッカー」シリーズの原作・監督 畑澤和也の個人ブログです。
現在中国広東省で活動中

思わぬところで「六神合体ゴッドマーズ」に再会しました。

「ゴッドマーズ」は長い説明は不要だと思いますが、80年代に「女子に」人気を博した正統派ロボットアニメ。今だったら女子の前に「腐」がつくところ。


100%女子のみの署名活動で映画化までこぎ着けた、ファンが作った(作らせた)劇場版。

この劇場版のDVDを発見したのです。


中国の海賊版ショップではないDVDショップで発見。中国語字幕はもちろん、ちゃんと中国語に吹き替えされている。実に珍しい(!)正規品らしい。

聞けば、ごく最近劇場公開もされたそう。


敵味方に引き裂かれた美形の兄弟。兄弟のつかの間の再会(逢瀬と言おうか)、そして死別。

これが20代の本橋秀之さんの美麗な作画と相まって乙女心を萌え上がらせたのもよくわかる。


でも今、中国語で本作を観ていると(けっこうみんな声が似ている)違う感想を抱かせます。


産まれた時に引き裂かれ、敵国に(ブービートラップとして)送り込まれた双子の弟と、母国こそ正義であり皇帝こそ絶対と教え込まれ(洗脳され)て戦わされる兄。

二人の本当の再会(和解)は兄の死をもって果たされる…。


どちらが日本で、どちらが中国かは観手の主観によるとして(;^_^Aこれはぜひ反日デモに参加した若者たちに観てもらいたい作品だと思いました。


それなりに登場人物の葛藤はあるにしろ、物語は勧善懲悪の至ってシンプルなもの。

その中に誰でも理解できるように「反戦」のテーマが込められている(ところが藤川桂介脚本!)。

こういう作品こそ、今の中国に必要なんだと思いました。(富野ガンダムは本当のところ中国人には「わからない」と思う。実は僕らも「わかったふり」してるだけだろうけど。「seed」ぐらいわかり易いと中国で…世界でも人気があります)


もちろん(今見ても全く見劣りしない)美しい作画による手描きアニメーションである、という事も重要なんですが。


中国語で苦悶するマーズとマーグを観て、きっと中国の人も苦悶しているんだと、何故か思いました。