「アルプス席の母」を読んだ。
作者の「ひゃくはち」という名門野球部の補欠の球児をだいぶ前に読んでいて、この人なかなか野球の小説書かないなと思ってたら、久しぶりの野球もの。
しかも球児の母の目線という珍しい作品。
シニアチームから創設数年の高校の野球部に息子が入り、それを追って大阪に引っ越した母親。
夫に先立たれ、野球チームに入り頭角を現した息子のために、週末を潰してお茶出し当番や監督の弁当を作るなど雑務をこなした母は、今度はめんどくさい父母会なるものの存在に翻弄される。
人間関係のドロドロもあり、その内幕はさわやかさのかけらもない。
監督も若造のくせにめんどくさいし、おまけに活動費という名の裏金までこいつに払わなければならない。
息子も慣れない寮生活に疲弊して痩せ細り、肘のケガまでして「やめたい」と弱音を吐く。
やがて三年生を迎えた息子と母の最後の夏は?
という内容。
序盤は結構ドロドロしているが、終盤に向けてどんどん爽快になっていくので読みやすい。
子供のいない私でも母心にウルルと来てしまった。
でも今後、甲子園の常連校の監督見ると色眼鏡で見てしまうな…