ニーナが住む小さな街では、都会のような遊楽施設や繁華街などもなく、刺激的な要素があまりにも乏しい。今回のコンサートの話は、街中の若者達の心を刺激し、コンサート会場となっている街外れの牧場の平原には若者達がこぞって集ってきていた。孤児施設の子供達も、ライブ・コンサートというものが如何なる物なのか、目を輝かせて特等席で、今か今かと期待に胸弾ませていた。



 たむろしてタバコを吹かしている不良達が、



「本当に今日ここでコンサートがあるのか?」
「ステージなんてどこにもねぇじゃないか」
「一杯食わされたか?」
「牛の乳でも搾らされるんじゃねぇのか?」



などとぼやきはじめていた。



 そこにハマーのFORDが大きなトレーラーを牽引してやってきた。会場に横づけされたそのトレーラーが電動で開いた。



 すると、トレーラーの特設ステージにスタンバイしたニーナ引き入るサンライズ・クイーンのメンバーがノリノリのロックをぶち噛ました。







 ほのぼのとした牧場に放たれた爆発的なエネルギーがその場の空気を一変し、歓声と興奮の渦が一気に巻き起こった。



 2曲目のCan The Canでは、会場全体が手拍子でリズムを共有し、ステージと会場が一体となってニーナのパワフルなボーカルを更に力強く突き上げた。







 3曲目の48 Crashの頃には日が沈み特設野外ステージの照明がより鮮やかにステージを演出し、心地よいそよ風が輝くニーナのブロンドをなびかせる。







 ニーナは最後にキングが歌って聞かせてくれたBorn To Runを熱唱した。そのニーナの歌に応えるようにステージに立ったスピード・キングが、雄たけびを上げた。Born To Runをロックのリズムで力強く歌い始めた。







 熱気の渦に包まれたステージで、ロン・スミスがマイクを取り、伸びのある歌声と弾けんばかりの生命力で I Can't Stop Lovin' You を歌い上げ、空間をグングンと押し広げていく。







 マックス・デニーロがストラトキャスターを唸らせて、スティーヴィー・レイ・ヴォーン並みのギターテクニックでLove Struck Baby を歌う。







 スティーヴィー・レイ・ヴォーンは、1990年悲運の死を遂げた天才ギタリストで、その演奏スタイルはエレクトリック・ブルースの頂点と言われる程、後進の音楽家に巨大な影響を与え続けている。



 レイ・ヴォーンがギターの天才ならキーボード演奏の天才は、キース・エマーソンであろう。1970年代当時、まだ開発されて間も無いシンセサイザー(モーグ・シンセサイザー)を世界に知らしめ、ロックという分野において「シンセサイザーをどう使うか」という方法論を提示した最初の人物でもある。



 そのキース・エマーソンが演奏しているのかと見間違う程、ステージ上でキーボードを華麗に演奏しているのは、ニコラ・ナニーニ。







物事を心に深く感じ取る働きを感性という。
そして、その感性の達人が天才と呼ばれる人達であろう。



物事を、
どれだけ敏感に感じ取れるか
どれだけ深く感じ取れるか
どれだけ強く感じ取れるか



そしてどれだけ多くの事を感じ取っていくか
それによって感性はより研ぎ澄まされ
鋭く成長していく。



しかし、それは同時に、



人一倍悩み
人一倍傷つき
人一倍苦しみながら生きていく事でもある。



そういった苦難に押しつぶされ


潰れていった才人がどれ程いたであろう。



人一倍高い次元でバランスを保っている人達は、
精神力が切れてそのバランスの均衡が崩れたとき
まっ逆さまに転落する。



そういった苦難を直向な努力と強靭な精神力で乗り越えてこそ才能は開花する。



苦難に負けるな。
不幸な境遇を嘆くな。



その不幸の重さだけ
人よりも優れた才知と英知が
そこには眠っている。



不幸に苦しんだ人程
幸せになる権利があるんだ。



彼らの演奏はその場に居合わせた若者達の魂を激しく揺さぶった。



後半、ステージ演奏は、バンド演奏からオーケストラ演奏へと更にパワーアップしていく。








ケイクがグレッチのセミアコを手に、ステージにあがった。



ストラップを肩にかけ


しばしボリュームとトーンを調整する。



納得のいくセッティングが出たようだ。



軽く手をあげ、ミキサーに合図する。



ケイクは他のメンバーをぐるりと見回した。



皆がうなずく。



カウントなしで、勢いのよいドラムのイントロが
ステージから弾け飛ぶ。



それに合わせて


セミアコースティックギターならではの


ボディ自体が共鳴して生み出される、豊かで力強い音色が響きわたる。



Rumble in Brighton



This Cats On A Hot Tin Roof



Rock This Town




最後に


Wild-Bison・オーケストラのGetin' In The Mood をバックに
Bison・ファミリーのキャンプ映像でファースト・ステージを
締めくくりたいと思います。



これは5月の連休を利用して家族で長崎にキャンプに行った時の映像です。


何年前だろ・・・
いい加減、キャンプに行きてぇ~よ^^



でも車が無い・・・



Getin' In The Mood




Wild-Bison ふぁーすとすてーじ おしまい。


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このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。
ストーリーはフィクションであり実在する国家・団体・企業・作品・HP・個人・アーティスト等とは一切関係ありません。