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 ケイクとキャサリンは帰り道、桜の名所として世界的にも知られるワシントンD.C.のポトマック河畔に立ち寄った。今が丁度満開である。


「ケイクが車じゃなくて地下鉄で行こうなんて、

 なぁ~んか変だなって思ってたんだ」


「そうなんだ。実はここの桜を見たくてね」


「それにしても綺麗ねぇ。あっちの桜はもっと綺麗だわ。」


 キャサリンは滅多に目にする事のないその桜の見事な美しさに、いつにも無く心が躍っていた。ケイクは大きな桜の木の下の芝にハンカチを敷くとキャサリンを呼んでそこに招いた。


「まぁ~座ろうや」


 そう言ってケイクは芝に横たわって腕枕し、満開の桜を見上げて満足げに浸ってる。隣に腰をおろしたキャサリンが同じように桜を見上げてケイクに言った。


「本当はマリーちゃんと来たかったんでしょ」


「あぁ~、マリーにも見せてあげたいな」


「マリーちゃん今どこ?」


「ハマー達とキャンプにいってるよ」


「そうか、今スプリング・バケーションだったわね、カレッジ」


「俺もついて行きたかったなぁ~。キャンプ」


「いいじゃないの、私とこうして花見が出来て^^
 なんなら、膝枕してあげましょうか?」


「お~、いいの?」


「ん~今日は特別^^」


この二人が出来てるのかどうかは、わたしは知らん。ただ言える事は、


短くもはかない人生を

思いっきり華やかに
咲き誇っている桜の雄姿は
見る者全ての心を躍らせる


それは
この時が来るのを
ただひたすら耐え忍んできた
忍耐のつぼみのみが持ちえる
蓄積されたエネルギーの

炸裂だからだ


咲き渡る満開桜の青空に
Van Halen の I Can't Stop Loving You
が共鳴する


Wild-Bison 第二部 END


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このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。
ストーリーはフィクションであり実在する国家・団体・企業・作品・HP・個人等とは一切関係ありません。