(B.O.C.理念)


 昨日、テレビ東京系列でドラマスペシャル 「復讐するは我にあり」が放映されていた。柳葉敏郎扮する殺人犯の榎津巌が、どうしてこのような凶悪犯罪に至ったかを少年期の出来事などを通して、彼の人格が崩れていくさまを鋭く描き出していた。


 以前、奈良少女殺害事件の被告小林薫の死刑判決が下った際、小林被告の弁護士が朝のワイドショーに出演し、妻がその番組を見ていたらしく、その時の様子を語ってくれた事があった。妻の話では、弁護士が、小林被告が幼時期に母親を亡くし様々ないじめのを受ける中で次第に人格が崩れて行った経緯を説明しだすとゲスト陣がいっせいに反論。


 「そんないいわけ通じませんよ」「彼は反省してるんですか!」と噛み付く有様。


 「この様な不幸な事件が今後起こらないようにする為にも、被告がなぜその様な犯行に至ったかを掘り下げて追求し、それを訴える為に私はここに来ました。」と、弁護士が一生懸命訴えるが司会者までも批判を繰り返すだけで、そこに至った経緯を全く理解しようとしない。結局、弁護士の「あんたらにはわかんないだろうよ」といった無力感とあきらめに満ちた苦しい顔がアップされてそのコーナーは終わったらしい。


 本人がどうしてそのような人格に崩れてしまったのか、そこ(原意追求)が一番大事なのに、結果だけをことさら取り上げて批判を繰り返す。物事を深く掘り下げて考える事をしない日本人の悪しき風潮が如実に現れた一場面であっただろう。妻も「どうしてそこを分かろうとしないの」と呆れ返って語っていた。


 その根本的要因を我々一人一人が真摯に受け止めていかない限り同じような犯罪人格者を世の中が生み出していくだろう。これは決して個々人の問題では無い。なぜなら人間は決して独立して存在しえるものでは無いのだから。