保腎養腎10 | 微照堂のブログ

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あんま、マッサージ、指圧、鍼、灸の技術を中心とし、さらに幅広く医療、健康、介護の問題まで私見を語ります。

 今までお話ししてきた保腎養腎の稿ではネフローゼ症候群についてあまり触れてきませんでした。eGFRを指標にして記事を調べていくとネフローゼ症候群(以下ネフローゼと略記)は引っかかってこないのです。

 ネフローゼについて私なりにまとめますと、これは糸球体腎炎の一症状で、たんぱく質の漏出が顕著なものです。糸球体を一種の篩と見なすと、この篩は修理不能と言われていますから、使っているうちに目詰まりしたり破れたりして使えなくなります。目詰まりがeGFRの低下、破れがネフローゼと言えると思います。篩が破れればたんぱく質はダダ漏れになるでしょう。

 メディカルノートを見ると、一次性ネフローゼの病態として微小変化型ネフローゼ、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、の4つを挙げています。二次性ネフローゼの原因としては糖尿病、膠原病、ウイルス性肝炎、などを挙げています。腎臓学会の「腎臓の病気を調べる」の中の「糸球体腎炎」の項には上記4病態が含まれていますから、糸球体腎炎と言っても糸球体のイカれ方によって目詰まりになったりダダ漏れになったりするのだと分かります。

 ネフローゼの診断基準は尿たんぱく3.5g/日以上、および血清アルブミン3.0g/dl以下、ということで、eGFR指標とは無関係ですが、健康診断では尿たんぱく試験紙で定性的に判定していますし、むくみなどの自覚症状が出ますから、ネフローゼを見逃すことは無さそうです。ネフローゼ状態の時eGFR値がどうなるのか気になりますが、メディカルノートの中の浅野先生のコラムには「ネフローゼでは排泄能力の低下は無い」という表現があり、eGFRは維持されているのかな、と推測します。

 ネフローゼについて一当りしたところで、糸球体を長持ちさせるにはどうすべきか、という元々のテーマに戻ります。続きます。