国津罪
地上の世界で起こった罪。人間界で始まった罪。主に姦淫に関する禁忌と自然災害、こぶ、いぼ。
生膚断(いきはだたち)
生きた人の肌を切る事。
死膚断(しにはだたち)
死んだ人の肌を切る事。
白人(しろびと)
肌の白くなった人を産む事。
胡久美(こくみ)
コブやイボの出来る事。
己母犯罪(おのがははをおかせるつみ)
自分の母を犯した罪
己子犯罪(おのがこをおかせるつみ)
自分の子を犯した罪
母与子犯罪(ははとこをおかせるつみ)
ある女と通じ、のちにその女の子と通じる罪
子与母犯罪(ことははをおかせるつみ)
ある女と通じ、のちにその女の母親と通じる罪
畜犯罪(けものおかせるつみ)
家畜を犯す罪
昆虫乃災(はうむしのわざわい)
蛇やムカデの被害や作物に対する虫害など、這う虫の災害
高津神乃災(たかつかみのわざわい)
雷、洪水、旱魃などの災害
高津鳥乃災(たかつとりのわざわい)
作物に対する鳥害
畜卜志蠱物為罪(けものたおしまじものするつみ)
相手の家畜を呪って死なせたり、まじないをして相手を呪ったりすること。
現代人の感覚からすると、胡久美のようにコブやイボが出来ることやら、白人(しろびと)っていうのも、おそらく仮死状態か死産という血の気が引いているような状態の新生児のことを言っているのかな?と思いましたが、それと鳥や虫の害、雷や洪水などの天災などは、人間の「罪」と言われるのには納得できないものがあります。
また、これに当てはめると手術する医者は罪深き人になってしまいますね。
しかし大昔は、それらが人間の罪の結果として起こると考えられていた為なんだそうです。
そして古代人はこれら天津罪・国津罪を犯すと「穢れ」てしまうと畏れていたらしい。
罪・穢れを取り除く為に
穢れは不浄で「けがらわし」などと呼ばれました。
穢れは「気枯れ」「気離れ」のことであり、
生命力が衰えてしまうことです。
その罪や穢れを取り除くために、
禊(みそぎ)や祓いを行うわけですね。
※古来、血や死に近づくことは穢れをもたらすと考えられ、出産やご臨終は別の建物で行い、のちに一族で祓いをしたとの記録もあります。
祓いの方法
祓いの方法には、水、火、塩、幣の4つあって、
中でも重視されたのが、浄化力があるとされていた
「水」によって身体を清め霊性を高める「禊」でした。
それは伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、黄泉の国の穢れを祓うために清浄な水に入って身を清めたことに由来します。
神社にある手水舎もその名残です。
水で体を清めると清めた水は川を下って海に穢れを運び、海の塩が全ての罪・穢れを清める。
「火」は穢れを焼き払うとされ、火祭り、どんど焼きなどに見られます。
穢れたものを焼いた煙が雨となり海に降る。
「塩」 海水に含まれる塩も浄化力を持つとされ、
相撲の塩まきも土俵などの空間を清める意味で用いられています。
海から採れた塩にも祓いの効果が備わる。
「幣」 神社に正式参拝した時に神主が大幣(おおぬさ)で祓ってくれるのがこのお祓い方法です。
今では夏越の大祓、年越しの大祓では、大概説明文には
「知らず知らずのうちに溜まった罪・穢れを祓う」などと、罪の内容を具体的には書いてありませんが、
この罪の内容だったら、特に罪穢れのない人、時期も多いかもしれませんね。