田の神と神棚 | 心の鏡

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天の霊妙不可思議な法則、神道について書いているブログ。心の鏡とは内在神を表し、神社のおみくじの神の教に「神様の御光が我が心の鏡に映るその時、凡ての心の曇り、心の闇は晴れゆきて、広き明き御恵みを授かる事が叶う」とあったところから命名しました。

 

田の神と神棚

昨日の記事で恒常的な神棚の中に分類されていた「田の神棚」についての考察を、なるべく簡略にご紹介したいと思います。

詳しくは『神社のいろは 要語集 祭祀編』の145ページあたりを読んでくださいませ。

 

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  田の神は「去来」の信仰

 

日本民俗学の研究成果によれば、日本の農業村落において最も基本的で普遍的な信仰は、

春に田の神が山から降って来て、秋には田の守護を終えて山の神になるという「去来」の信仰である

 

このことは柳田國男によって基本的な解明がなされたが、

この田の神は恵比寿、地神(じがみ)、社日(しゃにち)様、亥(い)の子神、歳徳神(としとくじん)とも呼ばれ地域的に一定しない。

呼称の差異は田の神信仰が他の信仰と習合した事を示しているが、

田の神が家を媒介にして「去来」することも広く伝承されている。

それを分類すると次の7種になる

1,田から家へ帰ってくる神

2,家から田へ出て行く神

3,山から家へ降りてくる神

4,家から山へ帰る神

5,家と田を去来する神

6,以上の伝承を欠く神

7,去来伝承を否定して留守神となる神

 

ここで本では出雲や隠岐、青森、長野での田の神のまつり方の例を紹介して、

そして上記1~4までの4つの形の神々が、

屋内に棚や祠を設けて祀られ「去来」の伝承を失っていくと、

固定した神棚が成立してくるのである。と、あります。

 

次に5の家と田を去来する神は、納戸が祭場で2月には家の納戸から田へ出て行って稲作を護り、11月には納戸へ帰ってきたと考えられていた例がありました。

 

次に6の形は去来の伝承が脱落した神である。

この神は既に棚を設けられ、そこに常在することになっていた。

 

日本の農村には神を屋内に祀るという事は、それほど早く一般化してなかったのではないかと思われるそうです。

祭りに関しては、祭屋を立てて行うのが古式であり、

建築技術の進歩によって次第に祭場を屋内に移すようになり、

やがては神の間、神の床としての一間を区画するようになったものと思える。

田の神の神祭りもまた、個々の家庭における屋内祭祀の形をとってきたために、

家を中心に去来する形を生じ、やがて常設の神棚を設けるようになったのであろう。

 

…とのことです。