伊勢神宮《3》ー常若・式年遷宮ー | 心の鏡

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天の霊妙不可思議な法則、神道について書いているブログ。心の鏡とは内在神を表し、神社のおみくじの神の教に「神様の御光が我が心の鏡に映るその時、凡ての心の曇り、心の闇は晴れゆきて、広き明き御恵みを授かる事が叶う」とあったところから命名しました。

 

常若・式年遷宮

神宮では20年に一度「神宮式年遷宮(じんぐう しきねんせんぐう)」と言って、

制度上、定められた期間ごとに新たなご社殿を造って神様にお遷(うつ)りを願い、

御装束神宝(おんしょうぞくしんぽう)までをも新たにして、

神威のより一層の高まりを願う祭典が執り行われます。

 

その為、神宮には内宮・外宮をはじめ、摂末社、別宮の多くにも

それぞれ東と西に同じ広さの御敷地(みしきち)があり、20年ごとに同じ形の社殿を交互に新しく造り替えています。

この制度は今から約1300年前の第40代天武天皇のご宿願で、第1回の御遷宮は次の代の持統天皇の時代に執り行われました。

以来、戦国時代に一時の中断はありましたが、20年に一度繰り返されています。

 

20年に一度と言っても庶民の戸建て住宅の新築移転とは違い、

地鎮祭と建築数か月で済む話ではなく、

9年位前に天皇陛下から大宮司にご下命してから様々な祭典や行事を経て行われているそうです。

 

神宮式年遷宮は、なぜ20年か?というと明確な根拠を示す資料がありません。

合理的な面からは

継承されてきた御造営の技術を次世代に伝承する

掘立柱(ほったてばしら)に萱葺屋根(かやぶきやね)という素木(しらき)造りの御社殿の美しさを保つには20年は適度な年月と考えられているようです。

 

また私が思うに、建て替えることによって出た木材を鳥居の柱に再利用したり地方の神社に譲っている(撤下古材)とも聞いた事がありますが、

これも20年くらいですと、まだまだしっかりしたもので使えるでしょうが、あまり古くなると喜ばれないだろうから、そうした点でも適度な期間なのではないでしょうか。

 

神宮式年遷宮は、

全てを新しくした清々しさのなかで大御神の大いなる力がさらに高まり、

日本全体が若々しい命に輝き自然への感謝を新たにする祭典です。

建て替える事で永遠に変わらない、いにしえからの「常若(とこわか)」の姿を保っている訳です。

それは日本の心と技を永遠に伝えていく至高の祭典なのです。

 

参考書籍・引用元はいつものとおりです。