国譲りと天孫の天下り/天孫降臨章 第九段 本文(第4話) | 心の鏡

心の鏡

天の霊妙不可思議な法則、神道について書いているブログ。心の鏡とは内在神を表し、神社のおみくじの神の教に「神様の御光が我が心の鏡に映るその時、凡ての心の曇り、心の闇は晴れゆきて、広き明き御恵みを授かる事が叶う」とあったところから命名しました。

高皇産霊尊は、天穂日命とその子、天稚彦の三神を葦原中国の平定に遣わしたところが、いずれもうまく行かず、また改めて神々を集め、遣わすべき神を選ばれました。

神々は

「経津主神(ふつぬしのかみ)が良いでしょう」と申し上げました。

この時、武甕槌神(たけみかづちのかみ)が進み出て

「どうして経津主神だけが大夫(ますらお)で、私は大夫でないのか」と申し上げました。

その意気込みが激しかったので、一緒に葦原中国を平定させる事にしました。

 

二柱の神は、出雲の国の五十田狭(いたさ)の小浜に降り立ち、

十握(とつか)の剣(つるぎ)を抜いて逆さに地面に突き刺すと、その切っ先に胡坐をかいて大己貴神に

「高皇産霊尊は、皇孫を天降(あまくだ)して、この地に君臨させようとなされている。そこで、まず我々を遣わして討ち平らげさせることとなった。お前の考えはどうか。隠退するのかどうか。」と問われました。

すると大己貴神は、

「我が子に尋ねた後でお返事いたしましょう。」と答えられました。

その時、その子である事代主神(ことしろぬしのかみ)は釣りに出かけていたとも鳥の狩りをしていたとも言います。

 

そこで熊野諸手船(くまのもろたふね)またの名を天はと舟(あめのはとふね/「はと」の漢字は合へんに鳥)に使者のいなせはぎを乗せて遣わされ高皇産霊尊の御命令を事代主神に伝えました。

すると事代主神は、

「今、天つ神からお尋ねがありましたが、我が父は隠退するでしょう。私もまたそれに逆らいません。」と語って、海中に八重蒼紫(やえのあおふし)かきを造り、船のヘリを踏んで隠退されました。

使者が帰って報告すると、大己貴神は、それを聞いて二神に

「私が頼りにしていた子は既に隠退しました。私もまた隠退しましょう。」と申されました。

そして国を平定した時に用いていた広矛を二神に授け、

「私はこの矛で事業を成し遂げました。天孫がもしこの矛を用いて国を治められれば、きっとご平安でしょう。今から私は遠い隅の地に隠退します。」と申され、言い終わるとすぐに隠退されました。

 

それから二神は諸々の服従しない神々を征伐され、ついに報告に戻られました。

 

あるいは二神は悪しき神や草・木・石の類を征伐し、皆平定されました。服従しないものは星神の香香背男(かかせお)だけでした。

そこで倭文(しとり)神である建葉槌命(たけはつちのみこと)を遣わすと服従しました。そして二神は天に上ったともいいます。

(つづく)