酩酊の続きです











理佐side





由「また飲みですか?」

出かける準備をしようと忙しく歩き回っていると
ソファから不機嫌な声が飛んでくる

チラッと除けば頬を膨らました由依が
不満そうにこちらを見ていて

場違いながら頭の中では
由依が同じ部屋にいる幸せを噛み締める

由依とは大学が違うから思うように会えなくて、
寂しくなった私が懇願して
ようやく叶った同棲生活

一緒に住み始めてから結構経つけど
まだまだ、由依がいる幸せに浸る日々


由「ねぇ、聞いてる?」

微妙に外れない敬語も、
たまに使ってくれるタメ口も、
どちらも可愛くて堪らない


理「うん、今日サークルあるから、」

由「やだ」

理「え、、」

珍しい
いつもは笑顔でお見送りしてくれるのに
どうしたんだろう

毎回終電までに帰ってきてるし
お酒は強いから悪酔いもしないし
由依を不安にさせるようなことだって
今までしてない、、はず


由「行かないで、」

理「どうしたの?」

理「今日もちゃんと早く帰ってくるよ?」

由「やだぁ、、」

理「由依が1番大好きだし
   由依以外に目移りもしないよ」

理「大丈夫だから、ほら」

甘い声で宥めながら
ソファにぺたんと座り込む由依の髪を撫でる
サークルの時の私からは到底考えられない姿に
我ながら笑いそうになる

由依のこと、こんなに好きで
だからこんなに必死になって…

由「でも、嫌です、、」

こんなに縋ってくれたら
もう今日は行く気なんて全くなくなったけど
駄々をこねる由依が可愛くて
もうちょっとだけ意地悪を続ける

理「なんで?」

理「今日は甘えたい日なの?」

由「今日だけじゃないし、、」

由「本当はいっつも寂しいんです」

うっすらと怒りを込めて見つめてくるけど
私より背の低い由依は自然と上目遣いになる
…かわいい
潤んだ瞳がたまらない

由「理佐さん、」

理「なーに?」

由「なんであのサークル入ったんですか?」

理「お酒が好きだから、かな」

私だって二次会の雰囲気は好きじゃないけど、
楽しくお酒を飲むには結構いいメンバーだし
由依はお酒弱いからあんまり一緒にいる時に飲まないし…

由「じゃあ、私と飲んでよ、、」

由依もお酒も好きだから
それは願ったり叶ったりだけれども

理「いいの?」

理「弱いのに大丈夫?」

由「弱くないもん」

拗ねたように呟くと
由依はまだ戸惑っている私の手を引いて
コンビニへと歩き出した















由「んー…おいしい」


由依にしては早いペースで
私に食らいつくように飲み進める


理「大丈夫?ゆっくりでいいんだよ?」

由「私だってこれくらいのめるもん」

何度宥めても大丈夫の一点張りで、
でも顔はどんどん赤くなっていく

敬語だって完全に外れちゃって
これは由依が酔った時の合図


由「理佐のまわりの人はみんなこれくらいのむんでしょ」

私のことを呼び捨てにしてくれるのも
とびきり可愛い酔った時の特徴だけど
きっと本人は気づいてない

言って直されちゃうのも嫌だから
これはずっと隠したまま


由「なら私もいっぱいのむ」

どうやらお酒に弱い自分じゃ私を満足させられない、と。
大好きな由依とお酒飲めてる時点で
もう十分大満足なんだけどな…

由「ん、つぎのやつとって」

由依に顎で使われて
仕方なく冷蔵庫に向かう


1本空けただけなのに由依はもうベロベロで
滑舌も大分かわいくなっちゃってる


理「はい、どーぞ」

由「ありがと!」

満目の笑みでお礼を言うと
由依は両手で缶を受け取った


由「あかない、、」

不満気な声に手元を覗き込めば
指が上手くプルタブにかからなくて
カツカツ、と缶の縁に爪をぶつけている

理「結構酔ってるね、お水飲も?」

由「へーき」

由依はちっちゃい子のようにプイッと顔を逸らすと
まだ空いていない発泡酒の缶を傾ける

理「もう、、口開けて」

コップに水を注いで由依の口の前に持っていけば
由依は素直に縁に口をつけて

そのまま傾けてあげると
可愛い口でちびちびと飲み始めた

由「ん!」

水を飲み終わっても
まだほわほわと何かを欲しがっているから
コップに2杯目の水を注いでいると

由「りさのやつ、のむ」

ちょーだい、なんてフラフラと手を伸ばしてくる

理「こぼさないでよ」

由「へへ、りさのだぁ」

缶を渡せば
また包み込むように両手で持って
ちょびっと口元へ傾ける

由「んー、、おいしい」

蕩けた目とピンクの頬が相まってかわいい
可愛すぎて苦しくなる

わがままだけど、
言わずにはいられなくて

理「ねぇ、私以外の人とさ、」

由「お酒のまないで、でしょ?」

由「わかってるもん」

とろんとした声でそう言うと
由依はまたヘラヘラと笑って
私のビールを飲み干す

理「由依は可愛すぎるんだからね」

理「由依と飲んだらみんな由依のこと好きになっちゃう」

由「だいじょーぶだよ
   りさにしか好かれたくないし、
   りさとのむお酒しかおいしくないし」

由「りさの前でしかのまないよ」

理「由依、好き」

この気持ちを伝えられる言葉はこれしかなくて
ありったけの力で由依を抱きしめる

くるしいよ、なんて由依はじたばたもがいて
そのまま力が抜けたように目を閉じた

由「わたしも、りさすき」

眠りかけの由依がそう呟いて
思わず私はその頬を撫でてそっとキスをした



そのまま寝落ちた由依をベッドに運びながら、
こんなに可愛い由依が見られるのなら
あのサークルはそろそろ辞めようかなとぼんやり考えた




fin